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2003年闘争討論集会

パネルディスカッションにおける各産別の発言内容

(電機連合:大福書記長)

(自動車総連:萩原事務局長)

(JAM:大山書記長)

(鉄鋼労連:児玉書記長)

(造船重機労連:内藤書記長)

(全電線:前田書記長)

(非鉄連合:船木事務局長)

(電機連合 大福書記長)
○国際市場の中で産業を成り立たせる必要があり、国内で高付加価値化を果たすことで、雇用を守らなければならない。春闘においても、そのための努力について労使で知恵を絞り、また経営に対しては新しい付加価値を生み出すための努力を促すよう、論議をしていくことが必要である。
○ベアの根拠である実質賃金、経済成長率、賃金の社会性、業績反映を考えれば、2003年はベアをやる状況にない。右肩上がりの経済のもとでの賃金引き上げの構図があったが、今後は賃金だけを求めるのでなく、総合労働条件改善のための交渉とすべきであると考える。賃金の絶対水準を含めたあり様についても論議しなければならない。一方、デフレ経済の下で、賃金体系維持ができなければ、日本経済そのものが危うくなる。
○2003年は、賃金の個別銘柄を変更し、学歴・勤続要素を排除し、仕事概念を強める闘争とした。35歳技能職基幹労働者、30歳技術職基幹労働者の2つのポイントの選択制とする。2002年は、ベアのない中で、18歳最賃を1,000円引き上げた。2003年も未組織労働者への波及という観点から、1,000円の引き上げを要求する。JCミニマムについては、35歳の最低到達指標24万円として取り組む。

(自動車総連 萩原事務局長)
○日本の自動車産業は、国際競争力を保持している。競争力の核は、生産性と品質を両立させ、チームワークによる問題解決能力を持っていること。これは労働の質の高さによるものであることから、努力すれば報われるというサイクルが大切であり、それが産業を牽引することになる。一方、輸出産業と国内向けの産業における生産性の二重構造が問題であり、低生産性分野の規制緩和によるインフラコストの低減が、ものづくり産業にとって重要である。
○自動車産業においては、賃金の引き上げは基本的にやるべきだと考えているが、物価、国際競争力に対する心理的な影響などのマクロ環境、生産性の問題などミクロの論理が整理しきれていないことなどから、賃金については「賃金カーブ維持分+α」とした。生産性の高さを賃金の絶対額で表すべきと考えており、個別銘柄別賃金の絶対額による取り組みに向けて、賃金水準の実態把握と賃金制度確立に取り組む。
○トヨタ労組は、ベアではないが、賃金交渉の枠組みのなかで労働の質向上分として、年間6万円を要求する。暫定的な対応であり、新たな要求方式ではない。賃金水準の高いトヨタ労組が労働の成果配分を要求することについて、格差是正の観点からも重く受け止めるべきと考える。

(JAM 大山書記長)
○ものづくり基盤の再構築に向けた提言をまとめた。競争力強化のための高付加価値を裏付けるのは、技術・技能を蓄積してきた「人」であり、労働条件についてもきちんと考えていくべき。競争力の点で瀬戸際にある業種もあるが、技能・技術を守っていくための国全体としての対応が必要。多くの部品メーカーにおいて利益が出ない構造となっていることについても考えるべき課題。
○2003年の賃金の取り組みは賃金構造維持分確保が中心となる。企業のおかれた状況から雇用に絞り込む単組も含め、全単組が要求を提出し、交渉を展開していく。
○ミニマム運動によって春闘の再構築を図ることは、非典型労働者の増加という点、企業の存続と労働条件とも密接にかかわる点からも重要である。JAMとして、全従業員対象の最低賃金の取り組みを強化していく。同時に、法的な賃金のミニマム規制の強化も重要となっている。

(鉄鋼労連 児玉書記長)


○鉄鋼産業は、アメリカや中国ではできない製品を生産しており、競争力はあると考えている。しかし、価格決定の主導権が原料の供給側と鉄鋼製品の需要側にあることや、発展途上国の追い上げ、EU、アメリカのセーフガード乱発等によって厳しい産業状況にある。職場の努力を収益に結びつけるべく、高付加価値化による競争力強化、業界再編による事業基盤確立、生産体制の構築と設備集約、市場戦略の明確化などの提言を行っている。
○2003年は複数年協定の中間年となる。一時金中心の取り組みになるが、業績は不十分ながらも改善しており、悪いときには我慢をするが、良くなれば成果を求めていくという考え方で取り組む。
○鉄鋼労連では、70年代から年齢、職種等銘柄を明確にして賃金表の改定を求める個別賃金要求を行ってきた。JCが個別銘柄別賃金を重視することについて評価しており、まだ移行していない組合についても、移行を促進したい。
○一時金は、これまで水準決定のプロセスがわかりにくく、納得性が少ないということから、生活給として固定部分120万円と業績反映部分として変動部分に切り分けて整理した。業績連動方式は120万円を労務費・経費として認めさせ確保するという観点から取り組んでいく。


(造船重機労連 内藤書記長)
○労働コストが低いところと同じものを作って国際競争力を比較しても意味がない。労働コストを下げれば競争力を維持できるわけではなく、生産性を含めた技術水準を高めるのでなければ生き残る道はない。しかし、最終的にはコストも重要であり、日本全体の高コスト構造を改善していくことに力を入れていきたい。
○2003年は、初めてベア要求を断念する。理由は、日本経済がマイナス成長であることやデフレが進行していることなどのマクロの経済環境、JC全体で統一的な取り組みができないこと、生産性は向上しているが交渉に足りうる水準設定ができないことである。定昇については、制度として当然実施するものであり、改めて要求はしない。年間総賃金として一時金は昨年プラスαを獲得したい。

(全電線 前田書記長)
○経営資源の選択と集中が進んできた。環境に配慮した電線など、産業政策として関係諸機関と連携して取り組んでいきたい。
○2003年は、昨年以上に厳しい産業状況にあるが、組合員の生活を最低限守っていく取り組みとする。
○従来から最低賃金の取り組みを行っているが、JCミニマムの取り組みを受け、年齢別最低賃金など、実態把握等により精度をあげていく。
○一時金については、業績にかかわらず獲得すべき生活保障部分を産別ミニマムとして4カ月とし、成果・業績反映部分は各単組で設定する取り組みを行っている。

(非鉄連合 船木事務局長)
○非鉄産業は、収入がドル建の国際価格であり、支出はローカル通貨建で決定するため、為替リスクが収支構造を大きく支配している。国際競争力強化には、世界的な企業再編の流れのなかで、日本の独禁法の柔軟な運用、エネルギーコストの引き下げ、技術力の向上が重要である。
○2003年は、賃金カーブ維持に全力を挙げる。JCミニマムについては、年齢別最低賃金と組み合わせ次につなげる論議ができるよう取り組む。

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