世界最大の造船会社で毎月1人の労働者が死亡
2015-11-12
韓国の労働組合員は11月16~18日にジュネーブで開催される国連ビジネスと人権フォーラムにおいて、世界最大の造船会社である現代重工業グループ(HHI)で死亡者数が増えている状況に警鐘を鳴らす。
2014年3月から2015年10月までに15件の事故が発生し、合計16人の労働者が死亡した。ほぼ月1人のペースである。現地の活動家も韓国の労働組合員とともに、11月17日(火)午後1時にパレ・デ・ナシオンの「壊れた椅子」前で開かれる抗議集会と儀式に参加し、犠牲者を追悼する。
労働者は圧死したり、海に落ちて溺死したりしており、機械に挟まれて窒息死した例さえある。
亡くなった労働者全員が下請業者に雇用されており、HHIの「リスク外部委託」方針を反映している。
HHIは、労働者とその任務が明らかにHHIの管理下にあったにもかかわらず、契約労働者の死亡に対する責任を取ろうとしていない。
それどころか、死亡者はHHIの下請業者で働いており、直接HHIに雇われていたわけではなかったため、過去5年間にHHIが負担した労働災害保険料はほぼ8,700万米ドル少なくて済んでいる。
「HHIは、そのような抜け穴を悪用して法的責任を逃れているが、道義的責任を逃れることはできない」と、HHI造船所とその子会社で働く下請労働者を代表する現代重工業下請労組のハ・チャンミン地方組合委員長は言う。「現代の造船所で労働条件を改善できるのは現代だけだ」
現地のHHI下請労組の組合員も加わる代表団は国連フォーラムで、HHIの劣悪な安全衛生実績を取り上げ、買い手である企業に対し、グローバル・サプライチェーンで労働者(特に下請労働者)の人権を保護する責任を認めるよう要求する。
代表団は、国連フォーラムで演説する予定のイ・ソンホ韓国国家人権委員会委員長とも会談する。
HHI下請労組は韓国金属労組(KMWU)を通してインダストリオールに加盟している。KMWUは同委員会に正式に苦情を申し立て、HHIの危険な労働条件と労働組合権の侵害について概説する予定である。
HHIは現地の下請労組の承認を拒否しており、同労組の合法的な活動を妨害しようと積極的に画策している。例えば下請業者に対し、組合活動家を解雇してブラックリストに載せ、他の下請業者に就職できないようにしたり、組合の力が強い事業所を閉鎖したりさせている。
韓国の裁判所は、HHIは不当労働行為を犯しており、下請労働者の労働条件に責任を負わなければならないとの判決を下しているが、韓国政府はこれを無視しており、権利の侵害が続いている。
HHIは韓国有数の財閥で、この国を支配する全能の多国籍コングロマリットである。支配株主のチョン・モンジュン元FIFA副会長は、FIFA倫理委員会によって6年間の資格停止処分を受けた。
韓国の労働組合代表団はスイス滞在中に、ジュネーブに本社を置く世界第2位のコンテナ輸送会社で、HHIの主要顧客であるMSCとの会談も求める予定である。