インダストリオール、鉄鋼業の危機に介入
2016-04-21
インダストリオールは、鉄鋼業の危機を打開するためにブリュッセルで開かれたハイレベルOECD会合に参加した。
この会合は2016年4月18日に開催され、過剰生産能力と構造調整に対処する世界的な戦略について討議。各国政府、鉄鋼メーカー、労働者および影響を受ける地域社会の代表が出席した。
全米鉄鋼労組のホリー・ハートがインダストリオール代表として参加し、鉄鋼危機が一連の産業破壊を引き起こし、世界的規模で良質な雇用を一掃するとともに、労働者の権利と労働条件を組織的に浸食している実態を説明した。
この危機の本質は、過剰生産設備があり、あまりに大量の鉄鋼が生産されていることである。これによって鉄鋼価格が20%下落し、鉄鋼生産から利益を得るのが難しくなっている。その結果、多くの雇用が失われている。
景気後退が原因で需要が低迷し、中国が他国の鉄鋼メーカーを廃業に追い込む戦術として原価以下で生産しているので、生産量は増えている。
中国の生産を促進している国有・国営企業は、WTOの義務やILO中核的労働基準、環境基準、基本的人権に違反している。
鉄鋼危機は短期的な危機だが、鉄鋼業が破壊される前に今、緊急に行動を起こす必要がある。鉄鋼は世界第2位の産業で、自動車から冷蔵庫、建設まであらゆる分野で利用されている。世界の鉄鋼利用は2050年までに50%増加すると予測される。鉄鋼は良質な雇用による価値の高いサプライチェーンを維持するために欠かせない。
政府は鉄鋼を盛り込んだ長期産業戦略を策定する必要がある。この戦略はインフラや訓練への大規模投資を含む。政府は、工場の操業停止によって消滅の危機にさらされた鉄鋼製造地域を救うために、重点的に介入しなければならない。
政府と世界機関は、厳しい環境・品質基準を満たしている鉄鋼工場を閉鎖しておきながら、そのような基準が無視されている分野で無制限な成長を許容する政策が、気候に及ぼす影響を考慮しなければならない。
フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は次のように述べた。「鉄鋼業は多くの地域社会の経済繁栄に絶対に不可欠であり、何千人もの人々に直接的に、あるいはサプライチェーンを通じて、極めて重要な質の高い雇用を提供する」「この産業を不公正競争から保護する産業戦略の策定が不可欠だ。各国政府は、鉄鋼業が破壊されて数千人の良質な雇用が永久に失われてしまう前に、この危機に緊急かつ積極的に取り組む必要がある」