バングラデシュ政府は衣料工場の安全確保のために介入を
2019-03-05
バングラデシュ政府は相変わらず、火災予防および建設物の安全に関わる協定は、後継の所轄安全当局の有無にかかわらず期日までに無効とする、と主張している。
2月18日の上訴裁判所の審問でアコード側弁護士は、アコードの機能の政府移管に関する条件をめぐるアコードとバングラデシュ政府、使用者団体BGMEAとの交渉決裂を報告した。上訴裁判所の裁判長は、バングラデシュおよび国家経済にとってのこれらの問題の重要性に言及、解決に達するために協議を続けるよう両当事者に命じ、2019年4月7日までさらに期間延長を命令した。これまでも11月29日、12月17日、1月21日に交渉継続を求める裁定が下されている。
インダストリオールとUNIグローバル・ユニオンはアコード締約ブランドの代表とともに、バングラデシュ首相と商務大臣に書簡を送り、行き詰まり打開への直接介入を求めた。
この書簡は、時期尚早にアコード事務所を閉鎖すれば、代替的手段でアコードを実施する必要が生じることになり、直ちに悪影響が及んで損害をもたらすと述べている。改善工事を完了していないかなりの数の工場はアコード加盟ブランド向けに生産する資格を失い、GSP資格が危機にさらされ、バングラデシュのRMG工場に発注しているブランドの存続性が危ぶまれる。
2月20日にダッカのチョークバザールで火災が発生し、少なくとも70人が死亡した大惨事は、バングラデシュには労働者の命を保護するに十分な安全制度がまだないことを裏付けている。バングラデシュ工科大学(BUET)の安全専門家は火災後、衣料産業で火災が減少している唯一の理由はアコードが絶えず工場を監視していることだと述べた。BUETによると、そのような安全確保能力はアコードがなければ存在しない。ダッカの計画・開発管轄機関RAJUKの責任者は、ここ半年のうちに調査された20万8,000軒の建物のうち、少なくとも3分の2が何らかの点で国の建築基準法に違反していると述べた。
明らかに、アコードが確信を持って自らの責任を移管できるようになるまでには、まだ長い道のりがある。バングラデシュ政府は、これまでのところ工場改善の進展やその後の検査に関する報告をまったく発表しておらず、政府による検査の対象となる工場の改善期限が、場合によっては何年も過ぎてしまっている。
2018年9月、衣料産業の条件改善を目指すバングラデシュ、欧州連合、アメリカ、カナダおよび国際労働機関との協力協定であるバングラデシュ・コンパクトは、次のように報告した。
- 検査・改善プロセスの透明性を確保して報告を公表するための取り組みに関するフォローアップが不十分であり、最初の検査報告書を受けた改善に関する情報が古く不完全である。
- 非協力的な工場で検査や改善を強制するための強化手順が実施されていない。
- ほとんどすべての是正措置計画に誤りがあるため、5件しか承認されていない。それにもかかわらず、29%という改善進捗率(アコードの改善率は89%)が報告されたが、公開データベースがアップデートされていないため立証できない。
バングラデシュ政府は、交渉決裂と裁判所の期間延長命令に起因する不透明性を払拭するとともに、交渉の席に着き、政府が本当に引き継ぎ態勢を整えたうえでアコードの機能を確実かつ責任を持って移管すべく本格的に取り組まなければならない。