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第112号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2020年9月30日)

インダストリオール・グローバルユニオンとTUAC、OECD鉄鋼委員会で懸念を提起

2020-09-25

<JCM記事要約>

  • インダストリオールとOECD労働組合諮問委員会(TUAC)は、第88回OECD鉄鋼委員会の討議に参加し、全世界の鉄鋼労働者が直面しているリスクの認識を高めた。
  • OECDによると、2019年の世界鉄鋼生産量は減少しているが、中国においては生産能力が拡大している。これは不当なグローバル競争の深刻化を示しており、多くの国々で雇用の維持が難しくなっている。
  • こうした状況に対して、インダストリオールとTUACは、政府・使用者との協議を通じて鉄鋼部門が現在直面しているグローバルな課題の共通の解決策を見出すこと、および鉄鋼委員会へも社会的対話メカニズムを最大限に活用することを奨励した。

 

インダストリオール・グローバルユニオンとOECD労働組合諮問委員会(TUAC)は、第88回OECD鉄鋼委員会の初日に討議に加わり、鉄鋼部門の悲惨な状況を深く憂慮している全世界の鉄鋼労働者が直面するリスクに対する認識を高めた。

最近のOECD分析によると、2019年の世界鉄鋼生産はアジアと中東を除いて落ち込んだ。COVID-19パンデミックは、史上最悪とはいかないまでも「2008〜9年の世界金融危機以降、最も急激な鉄鋼需要の減少」を招いた。

この文脈において、中国の鉄鋼生産能力拡大は世界中の国々にとって特に懸念される。OECDは『製鋼能力の最新情勢2020』に中国の工場レベルデータを盛り込み、2019年の中国の生産量を前回推定値(2019年9月)と比較して9,600万メートルトン上方修正した。

これは2016〜2018年に中国が公表した鉄鋼生産の減少を補って余りある量である。中国における不法新規設備の増加と国内外におけるキャパシティースワップの増加は、不当なグローバル競争を悪化させており、多くの国々で既存の雇用の維持をさらに危険にさらしている。

この課題には2つの面がある。一方で、現在の景気後退が終わるまで鉄鋼業の世界雇用水準を維持することは社会的に有用であり、したがって絶対に必要である。COVID-19危機の最初の数カ月に政府が講じた措置(短期労働制度や社会的保護の強化など)は、多くのOECD諸国において雇用と所得を守るうえで重要な役割を演じた。

だが、これらの緊急措置のほとんどには、延長された場合は別として、満了が近づいているか、すでに満了したサンセット条項があり、短期的な雇用水準の展開を予測することは難しい。溶鉱炉はいったん停止されたら、二度と再稼働しない可能性が極めて高い。

TUACとインダストリオール・グローバルユニオンは政府・使用者に対し、従業員がCOVID-19パンデミック期間中に働き続けられるようにするために、最も厳しい労働安全衛生基準の適用確保を要求した。

TUACは、COVID-19危機に対応して雇用を保護し、労働安全衛生を確保するための労働組合やソーシャル・パートナーの協定のオンラインマッピングを管理している。適切な労働安全衛生措置を確保する最も効果的な方法は、工場・企業レベルの合同安全衛生委員会の設置など、社会的対話機構を十分に尊重し利用することである。

TUACとインダストリオール・グローバルユニオンはOECD鉄鋼委員会に対し、将来の活動で鉄鋼部門の雇用関連問題を徹底的に掘り下げるよう促した。

例えば、他のOECD委員会と協力し、鉄鋼部門の構造変化(過剰生産設備、需要減少、グリーントランジションの必要性)が世界中の鉄鋼労働者に与える影響を分析したり、必要に応じて雇用を保護し、公正な移行を確保するために利用できる最善の政策や慣行を確認したりすることである。

このために、TUACとインダストリオール・グローバルユニオンは政府・使用者双方に、労働者代表および労働組合と協議し、鉄鋼部門が現在直面しているグローバルな課題の共通の解決策を見つけることを、そして鉄鋼委員会に、他のOECD委員会が推進しているように社会的対話メカニズムを最大限に活用することを奨励した。

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属担当部長は述べた。

「私たちは中国国外の鉄鋼生産の将来について、世界の鉄鋼業でさらに多くの雇用が失われることを懸念している。じっと座って待っていることはできない」

世界中の男女鉄鋼労働者の懸念やニーズに対する認識を高めるために、政府・企業代表ならびにOECD鉄鋼委員会の組合側出席者20人を前に話ができて光栄だ。製鋼は機能的な社会・経済のために必要不可欠だ。鉄鋼の未来、『よりグリーンな』鉄鋼の未来の創造を支援するには、力を合わせるしかない

鉄鋼労働者には発言する権利があり、政府と企業に意見を述べる権利がある。私たちは今日、その声を上げてOECD鉄鋼委員会で伝えようと試みた」

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