WTO加盟国は手頃な価格の医薬品へのアクセスを確保すべき
2020-11-25
<JCM記事要約>
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インダストリオール・グローバルユニオンはWTO加盟国に、TRIPSコロナ放棄案を支持し、手頃な医薬品アクセスを確保するよう求めている。
COVID-19パンデミックは仕事の世界に深刻な影響を与え、何百万もの労働者が職を失った。商品・サービスの生産、流通および消費と関連経済活動は、前例のない混乱と不確かな将来に直面している。世界経済が景気後退に陥っており、パンデミックは健康危機にとどまらず、世界の社会的・政治的・経済的安全保障の基礎を脅かしている。
COVID-19用の手頃な価格の医薬品やツール、ワクチン、診断および治療へのアクセスは、危機から回復するうえで最も重要である。誰も置き去りにしてはならず、全員が保護されるまで誰も安全ではない。パンデミック発生当初から、医薬品の生産、技術の共有、手頃な価格の治療へのアクセス確保のために、協調的努力が求められてきた。
多くの国々が、医薬品と診断・検査・治療へのアクセスの不足に直面している。これらの課題、特にWTOの知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)に起因する課題を克服するために、インドと南アフリカは、COVID-19の予防、抑制および治療のために特定条項の放棄を提案している。
放棄案は次のように強調している。
「特許、工業デザイン、著作権および未公開情報保護といった知的所有権は、ワクチンおよび薬剤など手頃な価格の医薬品へのタイムリーなアクセス、またはCOVID-19対策に不可欠な医薬品の研究、開発、製造および供給の拡大を妨げる障害を設けない」
世界保健機関(WHO)は、この提案を歓迎している。これらの規則の放棄が重要なのは、TRIPS協定に定められている柔軟性には限界があり、製造能力がない国々は医薬品を輸入するために煩雑な手続きに従う必要があり、緊急に必要としている人を救う能力を制限されてしまうからである。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「世界中の労働者が手頃な価格の医薬品への迅速なアクセスを必要としており、各国政府が協力して速やかに行動し、アクセスを確保して回避可能な死を防止する必要がある。パンデミック下での独占や不当利得行為は容認できない。治療、診断およびワクチンの手頃な価格による公正な分配を優先すべきだ」
「この目的を達成するために、私たちはWTO加盟国に対し、COVID-19 TRIPS放棄案の採択を支持するよう求める」
インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、400を超える国内・国際組織が署名したグローバルな市民社会声明を支持している。