カンボジアの組合、最低賃金の引き上げは不十分と主張
2021-09-30
【JCM記事要約】
|
2021年9月30日:最低賃金を月2米ドルに増額するというカンボジア首相の発表に、労働組合は不満を抱いている。
カンボジアの国家最低賃金委員会(NMWC)は過去2週間、2022年の新しい最低賃金率を決定するために交渉してきた。使用者側が景気後退を理由に最低賃金を月192米ドルから188米ドルに減らすことを要求したため、交渉は難航した。
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織と上部連合団体の指導者は、インダストリオールの支援を受けて7つの最低賃金決定基準を研究したうえで、204米ドルへの増額を主張した。多くの労働者が、工業地帯の高い食料品価格と住宅ローンへの対処に苦労している。
NMWCメンバーのほとんどが192米ドルに賛成票を投じたが、フン・セン首相が介入して最低賃金を194米ドルに調整した。
カンボジア衣料労働者民主組合連合(CCAWDU)のアシット・コン会長は言う。
「大多数のカンボジアの衣料労働者は、2022年の最低賃金の2米ドル増額に満足していない。交渉力を強化するために、国際連帯により、すべての衣料労働者がこの闘いを自分のものにしなければならない」
COVID-19がカンボジアで労働市場と外国投資に深刻な影響を与えているため、不満はあるものの、労働組合はこの決定を受け入れざるを得ない。世界銀行の調査によると、カンボジアの就業率は低下しており、45%の世帯が収入減に見舞われた。
進歩民主労働組合労働者連盟(TUWFPD)会長で国家最低賃金委員会副委員長のキム・チャン・サムナンは言う。
「私たちは204米ドルを求めて闘ったが、COVID-19の影響を考慮して、喜んで多数決に従う。来年、パンデミックが終わったときに、最低賃金を増額できることを願っている」
グローバル・ユニオンは7年前に国際行動デーを実施し、カンボジア政府に対し、貧困賃金を100米ドルから177米ドルに大幅に増額するよう求めた。その後、カンボジア政府は最低賃金を着実に引き上げている。
アニー・アドビエント・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は言う。
「生活賃金を求める闘いにおいて、引き続き加盟組織を支援していく。国際連帯はこれまでうまく機能しており、今後も成果を上げるだろう」
カバー写真:カンボジアの衣料工場、ディーセント・ワーク国別計画、ILO