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第140号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2021年12月27日)

世界の労働者、COVID-19ワクチンと健康製品・技術への普遍的アクセスを要求

2021-11-29

【JCM記事要約】

  • COVID-19パンデミックの発生から2年近くが経過し、労働者の懸命な取り組みにも関わらず、一部の政府が医学の進歩の共有や危機からの回復を阻止している。そこで、グローバル・ユニオン評議会(CGU)は2億人の労働者を代表して、各国政府による緊急行動を求めている。
  • CGUは、COVID-19関連の健康製品や技術へのアクセスに関する地域間格差に反対すること、WTO知的財産権ルールの一時放棄を目指してグローバルにパンデミックに取り組む世界中の労働組合・市民社会キャンペーンを支持すること、などを表明している。

 

2021年11月29日:グローバル・ユニオン評議会は2億人の労働者を代表して、各国政府による緊急行動を求めている。世界的なCOVID-19パンデミックの発生から2年近くが過ぎた。労働者はさらに力を入れ、人々の命と生活、世界経済を保護するために危険を冒しており、COVID-19関連の検査、治療法、治療薬、医療機器、個人用保護具、そして最も重要なことだがワクチンの迅速な開発によって、科学と医療の目覚ましい進歩を推進している。
                                                      

労働者の取り組みにもかかわらず、少数の政府は、これらの医学の進歩の共有を阻止し、より多くの人命を犠牲にし、労働者と地域社会をさらなるリスクにさらすことによって、世界的な回復を妨害している。直ちに集団行動を起こし、COVID-19ワクチンとより広い健康製品・技術への平等で普遍的なアクセスを確保する必要がある。

国際労働組合運動は、すべての政府、特にイギリス、ドイツ、スイスならびに欧州委員会に対し、すべての人々がCOVID-19ワクチンを利用できるようにするために必要なすべての措置を講じること、世界貿易機関(WTO)で南アフリカとインドが提案した一時的・重点的な「TRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)放棄」を支持し、コロナウイルスが影響を与え続ける中で世界中の労働者と地域社会の保護を妨げている大きな障害に取り組むよう求めている。WTOシステムは、異例の事態下で知的財産権ルールの停止を想定している――パンデミックは明らかに異例の事態である。

労働者、特にグローバルサウスの労働者は、ワクチンへの不平等なアクセスの矢面に立たされている。供給が不足している国では、医療労働者など最前線の労働者が今もワクチン接種を待っている。これらの労働者は社会を安全に保ち、サプライチェーンを動かして経済を機能させようと取り組み続けているが、少数の指導者と製薬会社は労働者を失望させている。

どこで生活しているかに関係なく、安全な職場で働く本質的な権利は、ワクチン接種へのアクセスがあって初めて可能となる。ワクチンや治療へのアクセスの世界的な平等を確保しなければ、労働者の安全を根本から脅かすことになり、人権(生存権、可能な限り高い水準の健康に対する権利、科学的進歩の利益を享受する権利、開発に対する権利を含む)に悪影響を与える。

それは産業の回復をも脅かす。IMFは、ワクチン接種努力を強化しなければ回復が遅れ、世界のGDPが今後5年間で5兆3000億ドル減少する恐れがあると警告している。商品・サービスの生産、流通および消費と関連経済活動は、前例のない混乱に直面している。全世界で効果的なワクチン接種が遅れれば、COVID-19パンデミックを長引かせ、将来の経済危機を誘発するだけである。

世界中の労働者が緊急行動を求めている。組合は127カ国で放棄を支持してすでに行動を起こしている。労働者の命と生活、そして私たちの地域社会が、それにかかっている。

1日遅れるごとに、より多くの命が失われ、回復がさらに遠のくことになる。パンデミック下での利潤追求のための法制度や政治政策変更及び不当利得行為は容認できない。これ以上の言い訳は許されない。

全員が安全になるまで、誰も安全ではない。

そこでグローバル・ユニオン評議会(CGU)は、国際労働組合総連合(ITUC)とグローバル・ユニオン・フェデレーション(GUF)(OECD労働組合諮問委員会(TUAC)を含む)傘下の労働者2億人以上を代表し、

  • COVID-19健康製品・技術(ワクチン、診断、機器、個人用保護具、治療薬など)の公平なアクセスと流通に関する発展途上国・先進国間の甚だしい格差に反対する。
  • インドと南アフリカとその他の共同支持者が提案したCOVID-19パンデミック下でのWTO知的財産権ルールの一時放棄を目指し、必要な範囲でグローバルにパンデミックに取り組む、世界中の労働組合・市民社会キャンペーンを支持する。
  • 100カ国以上の政府が放棄を支持していることを歓迎し、アメリカ、中国、オーストラリアを含むこれらの国々に対し、緊急課題として、放棄を妨害している国々にさらなる圧力をかけるよう求める。
  • ワクチン、治療、診断、その他の健康技術の開発・生産・承認に向けて、あらゆる方法(障壁の一時的な除去など)の利用を求める運動に加わり、これを支援する。
  • パンデミック関連の不平等の克服を目指す世界保健機関(WHO)の#VaccinEquityキャンペーンを支持する。
  • しかしながら、COVID-19技術アクセスプール、COVAX、ACTアクセラレーターといった既存のイニシアティブは、これまでのところ各自の目標を達成しておらず、私たちが必要とするCOVID-19ワクチンの迅速かつ公平な流通を提供していないことに留意する。
  • 各国政府とワクチンメーカーに対し、低所得国のCOVID-19健康製品・技術の入手可能性を促進して緊急に拡大するとともに、技術(特にmRNAワクチン技術)の共有をはじめとするイニシアティブを推進し、多くの国々で製造能力を開発するよう求める。
  • 制限が緩和された際にワクチンの保全と品質を保護することの重要性を強調する。
  • 輸出制限などによって大量のワクチンを貯蔵・備蓄しないという各国による共通のコミットメントを要求し、ワクチンとその原料を生産するすべての国々に対し、サプライチェーンを混乱させる措置を避けるよう求める。

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