OECD鉄鋼委員会で労働者代表団がウクライナの鉄鋼労働者と連帯
2022-03-31
【JCM記事要約】
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2022年3月31日:ウクライナ侵攻が暗い影を落とす中、3月29-31日に第91回OECD鉄鋼委員会が開催された。各国代表はウクライナ国民についての心痛を表明するとともに、ロシアに対する制裁が世界の鉄鋼部門に及ぼす悪影響を強調した。
この悲しい出来事に際して、TUACとインダストリオール・グローバル・ユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合が発言し、鉄鋼労働者ならびに広くウクライナ国民との全面的な連帯を共同で表明するとともに、可能な限り早い戦争の終結を要求した。
マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属・機械エンジニアリング担当部長が委員会で挨拶し、次のように述べた。
「インダストリオールはロシア、ウクライナ両国に加盟組織がある。プーチン政権は2022年2月24日にこの戦争を開始した。それは彼らの責任だ。即時停戦とロシア軍の撤退を要求する。労働者とその家族に代償を払わせてはならない。ここで話をしている今も、ウクライナの男女や子どもたちが戦争を逃れようとしている。クルィヴィーイ・リーフだけで、2万6000人の鉄鋼労働者と鉱山労働者、その家族が、生き残って鉄鋼工場を守るために闘っている。」
「インダストリオールは、影響を受けた労働組合を直接支援するために、加盟組織に寄付を求めている。私たちの目標は、寄付と救援物資の形での具体的な連帯によって、影響を受けた人々と難民を支援し続けることだ。ウクライナの加盟組織と絶えず対話し、この暗い時期にヨーロッパで財政的・組織的支援を提供している。私たちはウクライナを支持する」
OECD鉄鋼委員会は、世界の鉄鋼市況と鉄鋼需要、鉄鋼貿易の展開に焦点を当てている。したがって、国際制裁とそれが国際鉄鋼部門に及ぼす影響をめぐって討議し、各国が貿易フローに対する制裁の影響、エネルギーコスト、原料へのアクセスについての懸念を表明した。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長が述べた。
「ウクライナ国民と連帯し、ロシア軍の即時撤退を要求する。ウクライナ、ロシア連邦、アメリカ、EUならびにOECDなどの国際組織の政策当局に対し、統一ウクライナに向けて安定した平和な結果を確保するために、対話と政治的解決の1つを目指すプロセスに集中すべく努力を倍加するよう促す」
「普通の労働者に影響を与えない制裁も要求する。ルーマニアの鋼管メーカーTMK-ARTROMで、所有者がオリガルヒであるために労働者の賃金が凍結されている事例が報告されている。ロシアの恐ろしい行動が普通の労働者に損害を与えないようにしなければならない」
さらにTUACは3月1日、ロシアの加盟組織FNPRがロシアのウクライナ侵攻を支持する声明を発表したことを受けて、直ちにFNPRの準会員資格を停止した。したがって今後、FNPRの代表はOECD鉄鋼委員会はじめ、どのOECD委員会にも招待されなくなる。
マーク・リーマンズTUAC会長代行が次のように結論づけた。
「TUACは、ロシア連邦によるウクライナ侵攻を主権国家とその国民および労働者に対する暴力的かつ野蛮な行為として非難し、OECD諸国政府に対し、ウクライナ国民とロシア国民の苦しみを終わらせるためにできる限り努力するよう求める。ロシア軍によるウクライナの労働者とその家族、生産設備ならびに都市に対する攻撃は受け入れ難いものであり、阻止しなければならない。この目的を達成するために、私たちは、ロシアの加盟プロセスを正式に打ち切るというOECD理事会の決定を全面的に支持する」
「TUACはさらに、ロシアの主要労働組合総連合FNPRがウクライナでのプーチンの作戦を公に支持したあと、FNPRとの協力を停止し、OECDにいっさい招待しなくなっている」