ジェンダーに基づく暴力とハラスメントは安全衛生問題
2022-04-29
【JCM記事要約】
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2022年4月29日:GBVH(ジェンダーに基づく暴力とハラスメント)を職場の危険要因と認め、現在および新規の安全衛生方針に体系的に統合すべきである。インダストリオールは今週、GBVHに関する研究の第2章として、電子部門の結果の概要を発表した。
女性労働者は世界の電子サプライチェーン、特に小型部品の組立で労働力の大きな割合を占めている。
「監督職に就いている女性はほとんどおらず、昇進は多くの場合、男性に同調し、この種の性的な冗談を受け入れるかどうかにかかっている」とブラジルCNM-CUTの工場労組指導者は言う。
職場はたいてい経済特区の大工場で、多くの女性労働者が若い出稼ぎ労働者である。電子部門は、受注の変動、「ジャスト・イン・タイム」生産、短い製品サイクルを特徴とする。その結果、臨時・派遣労働が多くなり、超過労働が増える。劣悪な労働条件、非自発的な超過労働、不十分な休憩・休暇、有毒化学物質への曝露が、女性をGBVHの危険にさらしている。
「工場で言葉によるハラスメントが発生するのは、主に生産圧力がかかっているとき……1時間で2400個作らなければならないときだ。このような場合に圧力が生じ、女性にトイレの使用を許可しないといった差別が始まる。これは女性に悪影響を与えている」とインドネシアの組合代表は言う。
情報・通信・技術(ICT)電機・電子部門のGBVHに関するデータは限られている。
「多くの労働者が認識していない。身体的虐待[性的暴行]だけがセクシャル・ハラスメントだと思っている。精神的なセクシャル・ハラスメントもあることを理解できるよう手助けすることが重要であり、私たちの組合では意識向上プログラムを実施している」とインドのサンジョット・バダブカールSMEFI全国書記は言う。
組合は、GBVHを防止し、リスク評価などの安全衛生プログラムの中心部分にするうえで重要な役割を果たしている。
「私たちは労働組合として、ジェンダー平等参加を促進し、労働安全衛生活動を通してGBVを防ごうとしている。だが、未組織職場を含むあらゆる職場で認識を高めることによって、社会全体としてこの認識を向上させ、法律制定の改善につなげることができる」と日本の組合指導者は言う。
女性のリーダーシップと組合参加はGBVHに取り組む鍵である。女性と若者の組織化は、この部門の組合変革に役立っており、GBVHを優先する女性指導者が増えている。
インタビューした女性たちは次のことを勧告している。
- あらゆる形態の暴力とハラスメント、特にセクシャル・ハラスメントとLGBTIQ+ハラスメントに関する条項を労働協約に盛り込む。
- 既存の苦情処理制度を強化する。
- 職場の問題としての家庭内暴力の認知度を高める。
アレキサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT担当部長は次のように言及。
「3年前、暴力とハラスメントに関するILO条約が採択された。インダストリオールの研究の結果、調査対象職場の半分近くがGBVH事例を報告したことが明らかになった。その一方で、GBVHに関する方針がある組合は3分の1にすぎない。したがって、この問題の重大性を過小評価することはできない。私たち労働組合は、全労働者の平等な権利と機会を求めて闘っており、本研究によって、この闘いの新たなページを開く」
「この研究は、職場のGBVHについて数多くの事実を明るみに出すだけでなく、この部門でGBVHに対する認知度と認識を高める方法について、一連の明白な勧告を示している。インダストリオールは、すでにGBVH関連の訓練を実施している。この訓練を続け、一般組合員や職場、家庭からこの悪弊を必ず根絶する」
この研究は、インドネシア(FSPMIとLOMENIKの工場組合)、インド(SMEFI、SEM、エバー・エレクトリックス・プネー労組、シーメンス・カルワ工場労組、シーメンス・ゴア工場労組)、日本(電機連合、JCM、日立労組、村田製作所労組)、ブラジル(CNM-CUT)で、電子部門の組合指導者・代表22人を対象に実施したインタビューの結果をまとめたものである。
写真:©ILO/Asrian Mirza