モビリティーの未来――公共の場における選択肢
2022-05-19
【JCM記事要約】
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2022年5月19日:都市環境における未来のモビリティーコンセプトは、現在とは異なったものになる。サービスの共有が増え、個人モビリティーが減少し、人と車とインフラのデジタル接続が進み、無人の車両が増えていく。
インダストリオールは5月17日のウェビナーで、国際運輸労連(ITF)、UNIグローバルユニオンならびにドイツFESとともに、未来のモビリティー市場の中心的存在は誰か、どんな変化を予想することができるか、労働者・労働組合にどのような影響が及ぶかに関する研究を発表した。その結果をめぐり、40カ国以上から集まった100人を超える参加者が議論した。
研究者たちは、デジタル化が変化の原動力となり、新世代の消費者が主要なモビリティー機器としての車から離れていくと思われる近未来を提示した。車を中心とする既存の輸送システムは、その未来に適合しない。
そうではなく、モビリティーの未来は公共の場におけるさまざまな交通手段のデジタル・ネットワーク構築にあり、そこでは所有より利用のほうが重要である。
ジェンダー平等は、未来に備えるにあたって重要な側面である。
「現在、都市交通計画は男性によって男性のために設計されている」とITFのクレア・クラークは言う。
モビリティーは女性が日々の生活で子どもを学校まで送ったり、出勤したり、公共サービスを利用したりする際に特に重要な役割を果たしており、それが理由でジェンダー中立性の要求が鍵になる、と彼女は説明した。
公共交通機関の雇用も大いに性別を反映している。世界の公共交通労働者に占める女性の割合は15%未満で、女性は低賃金の不安定な仕事に過度に多く見られる。男性は運転手であることが多く、女性はチケット販売員である。母性権と安全衛生が欠如しており、女性は同僚や乗客からの暴力やハラスメントに悩まされることがしばしばある。
研究の結果、多くの新規雇用が創出され、失われる雇用量を補うことが分かっている。しかし今後は、これまでとは異なる新しい技能が必要とされる。これは重要な問題につながる――自動券売機に職を奪われた女性に新しい技能を習得させたり、技能を向上させたりするにはどうすればよいか。
「未来のモビリティーコンセプトは労働者にとって非常に大きな変化を意味することが分かっており、公正な移行の要求を明確に打ち出す必要がある。今日の労働者が明日の労働者になるようにするために、包括的な訓練計画が必要だ」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。
「組合として、移行に際して労働者と協調するようにする必要があり、同時に、この部門の新しい労働者の要求に合わせた提示を行い、組合に入って団体交渉すれば自分たちの未来がはるかに明るくなることをすぐに理解してもらう必要がある」