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インダストリオール・ウェブサイトニュース2013年第6号

インダストリオールICT・電機・電子運営委員会

2013-04-30

持続可能な未来を求めて闘う電子労組

インダストリオールICT・電機・電子運営委員会

 4月24日、シンガポールで開く

ICT電機電子部門会議運営委員会(4月24日、シンガポール)

 20134月にICT・電機・電子部門の組合が策定した10項目の行動計画には、組合員の組織化、不安定労働との闘い、持続可能な産業政策の立案が盛り込まれている。

 424日にシンガポールで第1回インダストリオール・グローバルユニオンICT・電機・電子運営委員会が開催され、オーストラリア、フランス、インド、インドネシア、日本、フィリピン、韓国、シンガポール、タイから36人が参加した。議題は以下のとおり。

●部門の現状とグローバルな傾向

●組織化および不安定労働との闘い

●持続可能な産業・職場の促進

20132016年の優先事項と戦略

 ICT・電機・電子部門の労働者は過去10年間に厳しい移行期間に直面しており、産業の変化によって労働条件が不安定になっている。現在、(収入で見た)世界10IT企業の職場10カ所中8カ所で組合組織率がゼロに近いほど低く、労働者は人材派遣会社や請負会社に雇用され、雇用条件について団体交渉を行う機会がまったくと言っていいほどない。

挨拶する有野ICT電機電子部門会長(中央)

会議に参加する各国の電機電子労組代表

 有野正治ICT・電機・電子産業部門会長は、不安定労働の拡大、生活水準の格差、持続可能性の危機といった急速なグローバル化の悪影響を指摘し、次のように述べた。「各国政府とこの部門の多国籍企業が、特にアジアの発展途上国で労働組合活動を妨害しようと多くの戦術を実施していることは明白だ。私たちは、この部門の組合として、さまざまな方法で積極的に行動を起こさなければならない」

 参加者は部門の共通課題に対する共通の理解を発表し、議論した。例えば、常用労働を犠牲にした不安定労働者(派遣労働者や非自発的なパートタイム労働者、臨時労働者など)の増加である。これを受けて参加組合は、2013年不安定労働撤廃キャンペーンへの積極的参加を約束した。

運営委員会では、近々発表予定の討議資料『持続可能な産業政策に向けて』についても議論し、部門の優先事項の1つとして、これらの問題に関して各国政府や世界機関、多国籍企業に影響を及ぼす意思を確認した。ICT・電機・電子部門は、特に多様な多国籍企業とサプライチェーンの存在を踏まえて、インダストリオール欧州労働組合など他の組合やネットワークとの協力関係構築にも努める。

 参加者は、20144月中旬にベトナムのホーチミン市で、第7回アジア金属労組連絡会議と併せて次の運営委員会を開催する旨確認した。

PTエプコス工場を見学する参加者一行

FSPMIの地域本部を訪問する参加者一行

 運営委員会の参加者は425日、シンガポールからフェリーで45分の有名な工業地帯バタム島にある日独系企業PTエプコスの工場を訪問した。参加者は労使関係について学び、工場での温度・圧力感知器や家電製品・自動車・産業施設・医療機器用センサーの生産に関する情報も得た。FSPMIバタム事務所も訪問し、その組合機構と活動について話を聞いた。

20132016年のICT・電機・電子部門における10項目の優先事項・戦略

 組織化および不安定労働との闘い

●労働組合権が制限されている特定の国や産業、自由貿易加工区(経済特区、輸出加工区)で、組合・組織化活動への支援を強化する(マレーシアの電子産業など)。

●労働者の基本的権利および不安定・女性・若年・移民労働者の組織化に関連する調査・教育・訓練活動を拡大する(2013年には不安定労働の状況に関する調査を実施し、生活賃金キャンペーンとの連携を模索)。

●組合組織率がゼロに近いほど低い発展途上国や多国籍企業に焦点を当てて組織化・組合構築を支援する(一部は外部資金プロジェクトによって支援)。さらに職場調査を開始し、電子廃棄物産業で労働安全衛生訓練や組織化を実施する。

OECD多国籍企業行動指針などの国際ルールやガイドラインを利用し、すべてのサプライチェーンに中核的労働基準の遵守を浸透させる能力を獲得する。

持続可能な産業・職場の促進

●電力部門など産業政策と関連のある他部門との共同活動や相乗効果を調べる(例えば、スマートグリッドなどの新技術・インフラ関連の雇用創出に関する情報交換、各部門の会合への相互参加)。

●インダストリオールの持続可能な産業政策を立案し、自国のナショナルセンターや他の産業別労働組合と協力して政府に対する要求活動を強化する。

●公正な移行に関する産業政策に重点を置き、将来のために持続可能な雇用を確保する。

●電子廃棄物や労働安全衛生など具体的問題に関する産業政策を強化する。

 TUNGFAの開発

●執行委員会の議論・決定プロセスに基づき、労働組合ネットワーク(TUN)とグローバル枠組み協約(GFA)を増やす。特に、アジア系企業でTUNGFAの創出に努力する。

 女性

●この部門の会合・会議で少なくとも30%超の女性参加率を達成する。

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