アジア太平洋の自動車労組、グローバル自動車会議を前に関係強化
2025-03-04
世界中の組合が自動車産業の未来について議論するインダストリオール・グローバル自動車会議を翌日に控えた2025年3月3日、アジア太平洋地域自動車会議が開かれ、賃金、労働条件、サプライチェーンおよび組織化戦略に関する重要な討議の準備をした。
インドの自動車部門が活況を呈している中、日本、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイの組合が集まって経験を交換し、より強力で協調的な運動を構築した。主なメッセージは明白だった。
「多国籍企業はこれまで以上に組織化されており、組合は急速な転換を経ている産業で労働者の権利を擁護するために、しかるべく連携しなければならない」
マレーシアの輸送組合から参加したゴパール・キシュナム インダストリオール執行委員のが討議の口火を切り、地域の団結の差し迫った必要性を強調。使用者が戦略的に努力を調整している一方で、組合は分裂したままであり、効果的に交渉してサプライチェーンの状況を改善することが困難になっている、と警告した。彼はインダストリオール・グローバルユニオンを代表して、加盟組織がインドに結集してくれたことに感謝し、交渉力を強化するには協力が重要だと強調した。
全日本金属産業労働組合/JCMの平川秀行氏も同様のメッセージを伝え、アジア太平洋地域の比類のない多様性は強みであると同時に課題でもあると強調した。
「労働法、経済構造、産業に大きな違いがあるため、共通戦略を実施することは難しいが、それでも組合は、団体交渉と労働者の権利に関する努力を調整する方法を見つけなければならない」
韓国金属労組(KMWU)のチョン・ヘウォン氏が、現代、起亜、ルノー韓国など、インドで韓国系自動車メーカーが存在感を高めていることに注意を喚起した。この拡大は雇用を創出しているが、課題ももたらしており、多くの労働者が不安定雇用や低賃金、劣悪な条件に直面している。これは韓国の組合が本国で取り組んでいる問題と同じである。
彼女はKMWUの成功例を引用し、賃金不平等を削減して状況を改善するための基本戦略として、産業別交渉を強調した。韓国の組合は、2交代昼日勤制による夜勤の廃止、労働者の健康とワーク・ライフ・バランスの改善など、大勝利を達成した。彼女は、現代、起亜および韓国GMとの労働協約によって賃上げ、利益分配制、労働時間短縮を確保したことも指摘した。
チョン氏は賃金の問題にとどまらず、大手自動車メーカーとサプライヤーとの収益格差が拡大しており、公正な労働基準の実施が困難になっていることも警告。国境を越えた連帯を呼びかけ、韓国とインドの組合に対し、一致協力して多国籍企業に責任を負わせ、オートメーションと電気自動車化の時代に公正な移行を強く要求するよう促した。
自動車総連の徳田和宏氏が賃金と公正貿易の問題をさらに強調し、大手自動車メーカー・小規模サプライヤー間の賃金格差解消に向けた日本の取り組みを概説した。自動車総連は78万4000人の組合員を代表して、先頭に立ってより強力な賃金協定を確保している。
自動車総連は2024年、物価上昇と労働者不足に対処し、1992年以降最大の賃金改善を取り決めた。2025年の春闘では、中小企業がコストの上昇を転嫁し、公正な賃金を支払えるようにすることに重点を置いている。徳田氏は、不公正なサプライチェーン慣行が中小企業の賃上げを妨げ、労働者への投資を困難にしていることも力説した。これに対処するために自動車総連は、「適正な価格転嫁」制度によって賃上げと企業投資が労働者に直接利益をもたらすようにすることを強く要求している。
自動車総連は、アセアン諸国、メキシコその他の国々において、特に日系多国籍企業のサプライチェーンで労使関係の強化と労働者の権利保護を目指す2030年ビジョンも導入した。世界の自動車サプライチェーンの条件改善には、日本とインド、その他の地域の組合間協力の強化が不可欠だ、と彼は強調した。
東南アジアの組合は異なる課題に直面している。マレーシアNUTEAIWのゴパール・キシュナム氏が、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの不安定雇用、低賃金および劣悪な条件について報告した。
「自動車産業は拡大しているが、多くの労働者は相変わらずほとんど保護のない不安定な仕事に就いている」
キシュナム氏は、組合が団体交渉と労働者の権利に関する情報を共有するために、より強力な地域ネットワークと専用プラットフォームを要求した。アジアにおけるグローバル枠組み協定(GFA)実施の取り組みも紹介した。この取り組みは、域内で活動している多国籍企業の最低限度の労働基準を設定するだろう。
もう1つの差し迫った課題は依然としてジェンダー不平等である。この産業では男性が優位を占めているため、女性は参入障壁や低賃金、指導的地位に就く機会の制限に直面している。組合は女性参画を改善し、主要な意思決定プロセスに女性を参加させるために行動を起こさなければならない、とキシュナムは強調した。
この問題は、アルメル・セビー・インダストリオール女性担当部長の主導により、自動車部門の女性に関する特別セッションでさらに掘り下げた。この部門では女性の割合が著しく低く、世界の労働者の9%にすぎない。
インドネシアでは、女性の40〜60%が生産や品質管理、スタッフの仕事をしており、男性が肉体的にきつい高賃金の仕事を占有している。フィリピンでは、女性は精密組立作業に割り当てられ、男性は持ち上げや作動の仕事をこなしている。
組合は、生理休暇や出産手当、ジェンダーに基づく暴力に対する保護など、より強力なジェンダー包括的政策を強く要求している。また、労働組合で女性指導者を増やし、交渉や職場方針に女性の声を反映させるためにも取り組んでいる。
アジア太平洋会議の終わりに、ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長が、グローバル自動車会議前の地域調整の重要性を強調した。インドが主催国に選ばれたのは世界の自動車産業で同国の重要性が高まっているためであり、プネーで議論した戦略は組織化と公正な移行、サプライチェーンの説明責任に関するグローバルな討議を方向づける、と同部長は参加者に念押しした。
より良い賃金、より安全な条件、より強力な組合ネットワークのための闘いはグローバルな闘いだと部長は述べ、参加者にプネーで得られた勢いに乗るよう促した。
「これは耳を傾け、学び、行動を起こすチャンスだ。一致団結することでさらに強くなり、あらゆる場所の労働者のためによりよく闘うことができる」