MENAで組織化を推進しよう!
2015-04-30
インダストリオールは過去数年間、中東・北部アフリカ(MENA)地域で積極的に活動してきた。先ごろ、この地域のインダストリオール加盟組織が会合を開き、議論を深めて積極的な組織化構想を練り上げた。
2015年4月20~23日にレバノンのベイルートで「組織化によって組合の力を構築」に関するインダストリオールMENA会議が開かれ、80人以上が参加した。アルジェリア、バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、パレスチナ、チュニジア、イエメンの代議員が出席し、フランス、ドイツ、スペインから欧州の加盟組織の代表も参加した。
丸4日間に、さまざまな部門別・部門間会合、ネットワーク会合、女性会合が開かれた。すなわち、インダストリオール中東・北部アフリカ繊維・衣料・皮革部門労組地域ネットワーク会合、MENA石油・ガス労組地域ネットワーク会合、MENA地域自動車・サプライヤー部門労組会合、MENA地域会合、MENA地域女性ネットワーク会合である。
MENAのいくつかの組合は、政治紛争やテロ、治安状況の悪化、一部の国々の武力紛争、団結権の保護に関する法律の欠如が原因で、新しい生産拠点の組織化や接触に苦労している。
エジプトとイラクでは自由な独立組合が、自由に組織化する権利を承認する公正な労働法や労働組合法を求めて今なお闘っている。域内各地でISISが台頭しているため、労働者は日々の生活でますます苦労するようになり、無事に職場に行き着くこともままならない。場合によっては、ISISが生産拠点を管理していることもある。
イラク政府は現在、合計70社を超える国有企業を、いわゆる独立採算制に切り替えている。つまり、会社が利益を上げなければ賃金を支払えない。これにより、数千人の労働者の給料が数カ月にわたって不払いとなっている。
モロッコ政府は依然、市民の購買力と年金基金を改善し、労働組合権の侵害をやめるよう求める組合の要求に応じようとしていない。3つのナショナルセンター、モロッコ労働組合(UMT)、民主労働総連合(CDT)および民主労働連盟(FDT)は先ごろ、5月を全国抗議・糾弾月間とすることを発表した
パレスチナでは、占領地や国境における労働者の苦難が、適正な労働条件の達成と組合員数の増加にあたって、相変わらず大きな問題となっている。
石油収入への依存度が高いクウェートでは、政府の新しいプロジェクト「戦略的代替策」が、昔からの権利を直接脅かし、石油部門の労働者の給付を引き下げている。インダストリオール加盟組織の石油産業労連は、この部門で働く3万人の労働者を断固擁護している。
リビアとイエメンからの参加者は、進行中の武力紛争が原因で労働者と労働者組織が極めて厳しい状況に直面していることを説明し、平和的解決を要求した。
チュニジアの組合は同国の移行において重要な役割を果たしている。しかしながら、労働法改正、UGTTと政府・使用者組織による社会的対話の結果の実施、医療制度と教育制度の改善が、組合にとって当面の課題である。
この会議では、さまざまな部門や国におけるインダストリオールの活動の進展や、より強力で自由な民主的組合の構築に関する将来展望を検討した。参加者は、国家レベル・部門レベルで組合組織率を高めるための戦略や協力の改善を目的に、各自の組合構造や組織化戦略に関する経験を共有した。
女性と若者はMENA社会の重要かつ活発な構成要素である。地域のさまざまな組合の議題に沿って、より多くの女性と若者に権限を与えて組合に加入させる方法を詳細に討議した。各国の加盟組織とともに、女性・若者ネットワークの確立に関するインダストリオールの進展について集中的に議論した。
この地域では石油・ガス、衣料、金属部門を中心にますます多くの多国籍企業が活動するようになっており、労働者がサプライチェーンにおける組織化や権利の擁護に苦労していることを考えて、組織化戦術の改善と多国籍企業に対する建設的な社会的対話の要求をめぐり、突っ込んだ討論が行われた。チュニジア、エジプト、ヨルダン、モロッコの成功例が強調された。
ヨーロッパの組合は、多国籍企業の本国の組合およびサプライチェーンのMENA組合の間で、ネットワーク構築を推進して協力を深めるために、双方の労働者の利益を強調した。パネリストは、域内における主要欧州企業の活動に関する重要な事実や、ヨーロッパとMENAの組合間で進行中の相互協力を強調した。ドイツIGメタル、フランスFTM-CGT、スペインのCCOOデ・インダストリアとMCA-UGTの代表が、組合の存在感を強化するための協力・活動案を示した。今後数カ月間の組織化活動が計画された。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、インダストリオールが、より強力な組合の構築と加盟組織の組織化構想の促進を支援していることを強調する。
「このような空前の参加と刺激的な議論は、加盟組織の専心と認識を反映している。そのような熱意を持ち、今後の課題に関して共通の理解に立つ組合は、自分たちの権利を擁護し、遅かれ早かれ組合員の要求を達成するだろう」
参加者は本国で議論を深めることを決定するとともに、潜在的な組織化ターゲットを確認し、「 組織化を推進しよう!」とのスローガンを採用した。