モロッコでインダストリオール加盟組織が引き続き拡大傾向
2015-04-03
2015年3月20~21日にカサブランカでモロッコ最大のナショナルセンター、モロッコ労働組合(UMT)の第11回定期全国大会と創立60周年記念式典が行われた際、インダストリオール・グローバルユニオンは、同国の現加盟組合7団体ならびに加盟する可能性のある組合数団体との積極的な活動を強化した。
代議員2,000人、地方・地域組合60団体、部門別連合22団体、青年・女性組織数団体、全国組合36団体が参加したUMT大会は、「闘争継続に向けた活性化と団結――自由と民主主義、社会的公正に基づく社会を求めて」をモットーに開催された。
この大会には政界の要人や国際代表も招かれ、モロッコの労働者の日常生活と将来に影響を及ぼす国際問題や戦略問題をめぐり集中的に討議した。代議員は、労働者の社会権や利益に悪影響を与える重大な経済的・政治的変化を特徴とする地域・国家・国際環境の重要性を強調し、労働組合運動に対し、新しい戦略に従うことを要求した。
ここ2、3年、アラブ諸国では反乱が起こっているが、モロッコは比較的安定を保っており、特にインダストリオール関連部門で外国投資を呼び込み続けている。ルノーなど特に有名な自動車会社数社が事業拠点を構え、製造業の重要な基盤となっている。タンジェ近郊の町メルーサにあるルノーの大工場は、ダキア・ブランドとルノー・ブランドで低価格車を製造している。同様に、同じくフランス系の大手自動車会社PSAプジョーシトロエンも、この地域で地歩を固めるためにモロッコにエンジニアリング・センターを開設している。
もう1つの重要な好況部門は航空宇宙で、すでにボーイングやサフラン、エアバス、ボンバルディア、ユナイテッド・テクノロジーズといった主要多国籍企業の注目を集めている。提供された情報によると、この部門の現在の直接雇用水準は2020年までに倍増するとみられている。この国にはデルファイ、レオニ、デル、GDFスエズ、トータルなど、そのほかにも多くの多国籍企業が進出している。
経済自由化後、過去10年間に多国籍企業が進出し、起業家が利益を得ている一方で、モロッコの組合は、低賃金、労働条件の悪化、基本的な労働組合権の甚だしい軽視に対抗して力を合わせ闘い続けている。先ごろ3つのナショナルセンター、モロッコ労働組合(UMT)、民主労働総連合(CDT)および民主労働連盟(FDT)は、労働者の権利・利益の擁護と促進を求めて政府に圧力を加えるために協力して取り組んだ。
2014年の終わりまで、インダストリオールにはUMT傘下組織2団体とCDT傘下組織1団体が加盟していた。インダストリオール執行委員会は、2014年12月の会合でさらに3つのCDT傘下組織を受け入れた。モロッコのインダストリオール加盟組織は、国際レベルで行動を調整するために、すでに国別協議会を結成している。女性・青年グループの活発なネットワークが、部門別組織でこの特別なグループの比重を高めるために具体的な形で協力している。
インダストリオールは、すべての現加盟組織および加盟する可能性のある組織と個別に、あるいは全国加盟組織協議会を通して話し合いの場を持った。ルノーやプジョー、レオニ、トータルといった重要な多国籍企業を組織化している加盟候補組合がインダストリオールへの加盟手続きを終えようとしているため、インダストリオール・グローバルユニオンの組合員数は近々増加する見通しである。全国加盟組織協議会は、組合組織化、不安定雇用および産業政策への積極的取り組みに関して共通の要求を打ち出した。インダストリオールは自動車・航空宇宙産業でも特定の活動を実施する予定である。
モロッコのこうした状況について、ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は、「モロッコの組合は、組合協力と国際連帯に関して大きな可能性を秘めている」「すべての討議でそのような行動主義、好戦性、闘争心が見られることは、実に末頼もしく勇気を与えてくれる。モロッコの組合への女性と若者の関与と統合は、他の組合にとって模範になると思う」と述べた。