トルコで続く金属産業のスト禁止
2015-04-02
金属産業におけるストを禁止する内閣命令に続く60日間の延期期間が終了したが、トルコでは依然、基本的スト権の実現にはほど遠い状況にある。
インダストリオール加盟組織ビルレシク・メタル・イスが、さまざまな都市で一連の企業を対象に開始した合法的なストは今、強制手続きを求めて高等仲裁委員会に付託せざるを得ない状況にある。というのもトルコの法律は、同労組が延期期間終了後にストを行うことを認めていないからだ。
トルコの労働組合および労働協約に関する法律(第6356号)によると、「閣僚会議は、要求または開始された合法的なストライキが公衆衛生または国家安全保障を損なう場合、命令によって60日間にわたり当該ストまたはロックアウトを停止することができる」。トルコの内閣命令は1月30日に官報で発表されたため、60日間の期間は3月31日で終了する。
その一方でビルレシク・メタル・イスは、政府による禁止決定に対応して各種の「争議行為」を次々に実施した。この禁止は、金属産業使用者団体の強力なロビー活動と圧力を受けて下されたものである。いわゆる延期期間中に、争議の解決を目指して努力するために仲裁人が指名されたが、組合員の基本的権利が明確に侵害されたため、ビルレシク・メタル・イスは、このプロセスには意味がないとみなした。
ビルレシク・メタル・イスは、2015年2月2日、国家評議会に政令の破棄を申請した。組合の当面の要求の1つは、命令の執行を停止してストを続行できるようにすることだった。国家評議会は政府に対し、スト延期の理由に関する論拠を送付するよう求めた。政府は長文の回答の中で、このストを兵器の製造と関連づけて禁止決定の理由を示そうとし、的はずれの議論を展開した。インダストリオール・グローバルユニオンはビルレシク・メタル・イスとともに、このナンセンスで空虚な政府の主張を批判している。
しかし、喫緊の問題であるにもかかわらず、国家評議会は今までのところ禁止措置の執行停止に関して決定を下していない。国家評議会が決定を下さないまま停止期間が経過したが、法律には「停止期間の有効期限前に合意に達しない場合は、6労働日以内に一方当事者から申請があれば、高等調停委員会が争議を解決する。申請がなかった場合、労働組合の権限は無効になるものとする」という規定がある。つまり、ビルレシク・メタル・イスは高等仲裁委員会に申請しなければ、団体交渉の認証を失うということである。
この強制仲裁プロセスを実施する権限を持つ高等仲裁委員会の構成は、閣僚会議が選出するメンバー1人、労働社会保障省労働局長の高等教育評議会が選出するメンバー1人、組合員数が最も多い労働者総連合が選出するメンバー2人、そして使用者を代表して、会員企業数が最も多い使用者総連合が選出するメンバー2人である。仲裁委員会の議長は、最高裁判所の部長のうち最上位の者が務める。この委員会のこれまでの活動を見る限り、労働者に有利な裁定が下されないことは明らかである。
「時の経過とともに、このスト禁止に関連する侵害の範囲が広がっている」とケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は言う。「理論上、スト権はトルコが批准済みの国際条約、トルコの憲法および関連法によって保障されている。これに加えて、ストは司法制度でも保護されている。政府のスト禁止決定と同様に、国家評議会の行動も容認できない。延期期間中に命令の執行停止に関する決定が下されなかったことは、トルコの司法制度がこの国で基本的権利を保護するために機能していないという明らかな兆候だ。基本的権利の侵害だけでなく、公正な裁判を受ける権利も踏みにじられている。トルコにとって恥ずべき状況だ」
国家評議会が決断しないために、ビルレシク・メタル・イスは高等仲裁委員会に申請せざるを得ないが、一般組合員の決意と行動力のおかげで、同労組指導部はスト実施を決定した企業の大多数と何とか合意に達した。同労組は間もなく、この情報を細大漏らさず公表する。
インダストリオール・グローバルユニオンは、この闘いでビルレシク・メタル・イスへの支援を続けている。基本的権利侵害をめぐるILO提訴に加えて、インダストリオールは、ビルレシク・メタル・イスが国内の司法手続きをすべて利用し尽くしたあと、欧州人権裁判所に問題を付託するうえで援助する予定である。