第43回労働リーダーシップコースが閉校
次代を担う労組リーダー39名の精鋭が修了
43回までの修了生は累計1,462名に

 伝統の第43回労働リーダーシップコースが、2012年の1月11日から、京都・関西セミナーハウスで、北は新潟、南は山口から総勢39名の次代を担うユニオンリーダーが受講し、「時代の求める労働組合の役割」をメインテーマに掲げ、4つの柱に基づく多彩な講義を受けると共に、5つのゼミナールに分かれて、ものづくり職場における組合の課題についての討議など合宿形式で研鑽に励んだ。1月28 日(土)に無事閉校し、39 名全員に平田校長から修了証が授与された。43 回までの修了生は累計1,462 名に達した。


開校式1週目2週目3週目閉校式


■第1週〔2011年1月11日(水)〜14日(土)〕
朝の散歩ー砂防ダムの前で 英会話の先生選び
ゼミの全体ミーティング 講義「戦後労働運動と労使関係の
変遷(鈴木勝利JC顧問)
 第1週は、天気に恵まれた中でスタートとした。11日の開校式・オリエンテーション等が終わり、12日(木)からいよいよ実質的なスタート。朝は、恒例のラジオ体操から開始。まずは昨晩選出された濱級長からの「みんなの協力のもと、全員元気で最後まで頑張ろう」との挨拶で出発。ラジオ体操の後、朝の散歩。コースは、修学院離宮脇の砂防ダムまで。全員で最初の記念撮影も行った。続いて、英会話の1回目、どの先生に当たるか、運命の赤い毛糸を使って先生を選び、第1回がスタート。英語での自己紹介から始まった。つづいて、当コースの最重要プログラムと言えるゼミナールの1回目、まずは大会議室に全員集まり、平田校長の挨拶の後、5人のゼミナール担当講師の自己紹介とゼミの狙いと進め方について説明があった。ゼミは、香川ゼミ「労働組合と世界」(担当講師:香川孝三副校長)、石田ゼミ「労働組合と職場」(石田光男運営委員)、中田ゼミ「労働組合と社会」(中田喜文運営委員)、冨田ゼミ「労働組合と働き方」(冨田安信運営委員)、「労働組合と企業」(上田眞士運営委員)の5つから成っている。今回から、ゼミ担当が平田校長から上田眞士同志社大学教授に交代した。各ゼミに分かれて、12時半まで1回目のゼミがスタート。まずは、各自の自己紹介と職場や組合での課題の紹介から始まった。
中田ゼミのお茶室体験
 昼休みには、各ゼミ交代でお茶室体験も松本先生の指導のもとスタート。トップバッターは中田ゼミから、みんなで日本の伝統、茶道を体験した。茶室の名前は、清心庵(せいしんあん)と言い、初釜式には裏千家の家元が直々に行った由緒ある茶室とのこと。
 4つの柱に基づいた講義もスタート。鈴木勝利金属労協顧問による「戦後の労働運動と労使関係の変遷」を皮切りに第1週では、「国際労働運動論」(小島正剛金属労協顧問)、「組合戦略づくり」(神田良明学教授)、「労使関係論」(石田光男同志社大教授)の講義が続く。
ファンタジーグループ 講義「国際労働運動論」小島顧問
 12日夜の「ファンタジーグループ」(日高正宏神戸女学院大教授)では、話をしないで、フィンガーペインティングの技法を使って、グループで心理的交流を深め合いながら、一つの作品を仕上げる実習を体験した。13日午後の「組合戦略づくり」では、労働組合の戦略づくりのノウハウを学び、実践事例としてグループディスカッションを通して戦略づくりの体験学習をした。

■第2週〔2011年1月16日(月)〜21日(土)〕
早川先生の「地域福祉論」
 第2週は午前のゼミナールから始まった。昨年は雪の降る日が多く、朝の体操もできない日もあったが、今回は天気に恵まれ風邪を引く人も少なかった。午後は「労働経済論」(中田喜文同志社大教授)、夜は早川一光先生の「地域福祉論」を楽しく聞いた。
 17日午前、香川孝三先生の「労働法」の講義を受けた後、午後から、香川副校長の引率で全員で「鞍馬山散策」にに出かけた。天気にも恵まれ、鞍馬寺で講話を聴いた後、鞍馬山を越えて、貴船神社まで無事に踏破できた。鞍馬の自然を全身に浴び、みんな元気なパワーをもらった。
 18日は午前「国際協力論」(平田哲アジアボランティアセンター代表)、午後は「ゼミナール3」の後、夜は、コースの折り返し地点で後半への鋭気を養うために、平田校長、香川副校長、冨田運営委員をはじめ、英会話講師やセミナーハウススタッフも参加して、全員でゲームや各ゼミ対抗の寸劇などで交流を深めた。最後は、香川副校長の音頭で恒例の阿波踊りを全員で踊った。
鞍馬山散策ー鞍馬の自然を満喫 交流会の最後は香川副校長を
先頭に恒例の阿波踊り
 
討論会
 この他、「持続可能な地域社会」(植田和弘京大教授)、「男女共同参画の職場と社会づくり」(三輪敦子世界人権問題研究センター専任研究員)、「労働組合のための財務分析入門」(石井康彦高千穂大教授)、「新しい組織文化の創造」(大平浩二明学教授)、「金属労協の運動課題」(若松英幸金属労協事務局長)の講義を受けた。
 
石田ゼミ 冨田ゼミ 上田ゼミ 香川ゼミ
特別講演で講演する矢野弘典氏
 18日午後はゼミナール3回目、いよいよ課題に対する各人が考えた解決案の探索に入り、ゼミも佳境に入りつつある。19日の夜には、討論会を行った。討論テーマは、討論会実行委員会で検討した結果、若手組合役員の教育、安全衛生、経営対策、組合主催のイベント、若年層への情報周知についての5つ。各ゼミから選ばれた討論会実行委員が、自分の担当するテーマについて説明した後、各自興味のあるテーマのテーブルに座り、自由闊達縫なディスカッションを行った。今回は、討論会終了後、実行委員が自主的に集まり、情報を分かち合った。
 2週目最後の21日(土)午前、恒例の特別講演「経営と人間」を行った。中日本高速道路(株)顧問の矢野弘典氏を講師に迎え、懇談的にご自身の経営哲学、経営理念を中心に人生哲学も含めて講演を受けた。また、特別講演の前には、早朝、有志で比叡山登山を敢行した。

■第3週〔2012年1月23日(月)〜28日(土)〕
浦坂純子先生講義風景 猪木武徳先生講義風景
樋口和彦先生講義風景 政池明先生講義風景
英会話の最終回ーグループ毎に歌発表 ゼミナール発表-中田ゼミ
 いよいよ最終週。夜は、各ゼミで自主的に、27日のゼミまとめを目指して、個人レポート、ゼミ発表資料の作成に遅くまで熱心に取り組んた。
 講義は、「日本経済論」(篠原総一同志社大教授)、「戦後世界経済を振り返る」(猪木武徳国際日本文化研究センター所長)、「現代科学技術の課題」(政池明京大名誉教授)、「深層心理学」(樋口和彦同志社大名誉教授)、「日本変革の時代と労組」(中條毅同志社大名誉教授)、「哲学」(シュペネマン・クラウス同志社大名誉教授)、そして最終講義が「統計学」(浦坂純子同志社大教授)であった。
 23日午前のゼミ4では、各自の職場・組合での課題の解決案の発表とまとめを行い担当講師からのアドバイスを受けて、27日の全体発表に向けての準備に取りかかった。そして27日には、午前中各ゼミ毎に個人レポートを発表しあった後、午前11時半から、中田ゼミを皮切りに、香川ゼミ、午後から上田ゼミ、冨田ゼミ、石田ゼミの順番でゼミ発表を行い、各ゼミで研究・討議した成果を全員で分かち合った。終了後、夜には、京都市内でコースの打ち上げ懇親会をゼミ講師、若松事務局長をはじめ、英会話講師も参加して開催、2週間半の全員の健闘を称え合い、交流を深めあった。

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■閉校式
出発(たびだち)の集い
 1月28日(土)朝、快晴のもと、8時45分から大会議室で出発(たびだち)の集いを行い、濱級長を皮切りに全員がこのコースに参加しての感想を述べあった。
 
平田校長 若松事務局長
香川副校長 石田運営委員
中田運営委員 冨田運営委員
   
   上田運営委員
 続いて、10時半から滑川次長の司会により閉校式を執り行った。冒頭、平田哲校長が式辞に立ち、「全員が元気に晴れやかに閉校式を迎えられたことを共に喜び合いたい。受講生の皆さんの姿勢を見ていたが講義後の質問も大変多く学ぶ姿勢に溢れていた。「共に語り合い共に学び合う」という伝統が息づいたコースだった。ここで結んだ絆を大切に今後の活躍を期待している」と激励した。この後、39名の受講生一人ひとりに平田校長から修了証を授与した。第43回コースを終えて総計1462名が当コースを修了した。
 続いて、主催者を代表して若松英幸金属労協事務局長が挨拶に立ち、「運営委員の先生方、セミナーハウスとJC事務局のスタッフなど様々な人々に支えられて本日を迎えることができた。心から感謝したい。50年前に東日本の金井信一郎先生と西日本の竹中正夫先生、そして当時のJC議長・事務局長が話し合って、日本の労働運動を引っ張っていけるようなリーダー、国際的に通用するようなリーダーを育てるんだという高い志を持って、労働リーダーシップコースをスタートさせた。以来、43年という長きにわたりこのコースを継続できた。課題は山積しているが、ここで学んだ知識とここで培った仲間のネットワークを人生の宝として、ものづくりの職場を明るいものにしていってほしい」と激励した。香川孝三副校長からは「閉校式とは英語でConmencement Ceremonyと言って、『新たな出発』」という意味がある。これからが大事である。新たな課題に、ここで学んだことを生かし、頭と足と経験、そして心をフルに動かして仲間とのネットワークを大切に、チャレンジしていってほしい」と激励した。
石田光男運営委員からは「私自身がゼミを通じて労働現場の最先端のことを学ばせてもらっていることに感謝したい。日本の雇用ルールは緻密なものであるが、足りないところは納得性かもしれない。対等なルールづくりに組合として頑張ってほしい。また、グローバルな組織体制、雇用体制の問題も労使協議の遡上に載せるよう努力してほしい」等要望した。中田喜文運営委員は、「このコースで学んだことを生かして、まずは明るく、安心できる職場づくりを基本に、一歩ずつ大きな運動に仲間を大切にしながら取り組んでほしい」と挨拶した。冨田安信運営委員は「皆さんと職場の働き方を中心に楽しく議論できたことに感謝したい。職場に帰られてからの活躍を祈ります」と挨拶した。上田眞士運営委員は、「日頃の忙しい日常業務を離れて、労使関係など労働組合の原点について、少し立ち止まってもう一度問い直すいいきっかけになったと思う。今後の活躍を祈ります」と激励した。
 
修了証授与 答辞を述べる濱級長
 
おいしい食事を出してくれた厨房のスタッフの皆さんに感謝

     続いて、今回コースの級長を務めた濱由征さん(全労済京都府本部) が受講生を代表して、運営委員の先生を初め、関西セミナーハウス、JC事務局への感謝の気持ちと、同じ釜の飯を食べ合った39名の仲間達との友情と連帯を今後とも大切にしながら、このコースの成果をそれぞれの職場・組合で活かしていくことを誓った答辞を述べた。最後に、全員で「卒業の歌」を合唱して閉校式を終了した。
 この後、全員で大会議室で記念撮影を取った後、アゴラホールで打ち上げを行った。席上、第39回受講生から、会場となった関西セミナーハウスのスタッフに感謝の気持ちをこめて記念品が贈呈された。