広報ニュース

第153号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年12月26日)

戦略的な組織化手段としての安全衛生

2022-11-17

【JCM記事要約】

  • 10月26日に東南アジアの部門横断的なオンライン会合が開催され、日本やカンボジア等から65人の労働組合員が参加した。会合にて参加者は、危険な労働環境から労働者を守る戦略として、ILO労働安全衛生条約の批准・実施・監視について議論し、部門横断的な地域労働安全衛生プラットフォームの構築が必要であると結論付けた。
  • インダストリオールでは、労働者がより安全でより健康的な職場を求めて闘うため、安全衛生活動家マニュアル「Saving ourselves」を用意している。インダストリオールのグレン鉱業・労働安全衛生担当部長は、すべての労働者は安全衛生に関しての権利があり、使用者がこの分野への労働組合の参加を拒否した場合は、労働者の命を救うために主導権を取り戻すことが組合の任務である、と述べた。

 

2022年11月17日:東南アジアの組合は先月会合を開催、労働者を組織化して強力な組合を構築し、危険な労働環境から労働者を守る戦略として労働安全衛生を利用する方法をめぐり議論した。
                                                      

10月26日の部門横断的なオンライン会合の参加者は、インドネシアの化学・エネルギー・鉱山労働者が、採掘現場で100人を超える労働者が死亡したあと、労働安全衛生を利用して労働者を組織化した経緯を聞いた。

CEMWUは各州のオルグ向けに、安全衛生に関する教材や訓練を立案している。例えば、労働協約への労働安全衛生原則の包含や、使用者との関連する社会的対話の実施などである。

フィリピン金属労働者同盟(MWP)のジュリアス・カランダン書記長が、労働安全衛生は重要な組織化戦略だと強調し、フィリピンのエレクトロニクス工場が妊娠した女性労働者に夜勤を強制したとき、労働者が憤慨し、それに対応して同労組に加入したと付け加えた。

参加者は、ILO労働安全衛生条約(第176号条約、第155号条約、第187号条約など)の批准、実施および監視について議論した。これらの条約はILOの世界的な勝利の重要部分であり、安全衛生を職場の基本原則と宣言している。

「インダストリオールは労働安全衛生に関して権利に基づいたアプローチを採用している。すべての労働者に知る権利、参加する権利、拒絶する権利があり、それについて交渉することはできない。使用者が労働安全衛生分野への労働組合の参加を拒否する場合は、労働者の命を救うために主導権を取り戻すことが組合の任務だ」とグレン・ムプファン・インダストリオール鉱業・労働安全衛生担当部長は述べた。

危険で不健康な職場慣行は男女両方に影響を及ぼすが、女性労働者は社会で生殖の役割を担っているため、より大きなリスクにさらされる。

「ジェンダーに対応した労働安全衛生方針が必要だ。企業と組合は女性労働者のために共同労働安全衛生リスク評価を実施すべきであり、女性に労働安全衛生委員会に加わる機会を与えるべきだ」とフィリピン労働・関連社会サービス総連合(CLASS)のアニー・アドビエント書記長は述べた。

インダストリオールの安全衛生活動家マニュアル「Saving ourselves」は、組合の安全衛生活動家、特に活動を始めたばかりの人たちのための資料である。このマニュアルは、労働者がより安全でより健康的な職場を求めて闘う際に理解しておく必要がある、基本的な構造やプログラムの概観を提供する。

この会合にはカンボジア、インドネシア、日本、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、フィリピンから65人の労働組合員が出席し、部門横断的な地域労働安全衛生プラットフォームの構築に合意した。

写真:E. Tuyay / ILO

 

アラン船舶解撤場を連帯訪問

2022-11-11

【JCM記事要約】

  • 造船・船舶解撤労組の日本を含むグローバル代表団が、インドのアラン解撤場と船舶リサイクル部門の川下産業を訪問した。訪問では神田健一アクショングループ共同議長等が挨拶を行い、現地組合のデモや基幹労連の資金で建てられた施設での集会に参加した。
  • アクショングループで企画した一連の活動の1つである今回の訪問では、期間中に連帯訪問の他、香港条約ワークショップやアクショングループの会合などが行われた。インダストリオール・松崎書記次長は、賃金や安全などすべてのステークホルダーが関心を持つ分野で共通基準に合意するため、政労使アラン基準委員会の設置を進めることを提案した。

 

2022年11月11日:インダストリオール・グローバルユニオンの船舶解撤浄化キャンペーンの一環として、造船・船舶解撤労組のグローバル代表団が、インド・グジャラート州のアラン解撤場と船舶リサイクル部門の川下産業を訪問した。
                                                      

この連帯訪問は、インド、バングラデシュ、シンガポール、日本、フランス、オランダ、ジュネーブ本部の労働組合員によるもので、造船・船舶解撤アクショングループで企画した一連の活動の1つだった。行事には、116日の香港条約ワークショップ、117日のアクショングループ会合、連帯訪問、119-10日にオランダの組合FNVが実施した安全訓練が盛り込まれていた。

世界で最も危険な仕事と考えられている船舶解撤は、インド、バングラデシュ、パキスタンの解撤場で悲惨な人的被害をもたらしている。しかし、現地組合ASSRGWAが組織化され、2019年にインド政府が船舶の安全かつ環境上適正な再生利用に関する香港条約を批准してから、インドの解撤場は劇的に改善している。

この職場には、低賃金、長時間労働、不安定雇用などまだ問題があるが、状況は大幅に改善している。代議員が視察した2つの船舶解撤場では、労働者には危険と感じる作業を中止する権利がある。労働者は保護具と安全な作業計画を提供されている。

代表団は、アランでのASSRGWAによるデモや、日本の加盟組織基幹労連の資金で建てられた同労組施設での集会に参加。この集会では、アイリーン・ヨー、神田健一両アクショングループ共同議長、松﨑寛インダストリオール書記次長、ウォルトン・パントランド部門担当部長が挨拶した。

神田共同議長は聴衆に、基幹労連組合員からの日本語の挨拶「ご安全に!」を紹介した。

松﨑書記次長はこう述べた。

「組織化によっていかに多くを勝ち取れるかを見てきた。今度の課題は、より多くの労働者を組織化し、この産業で勢力の均衡を変えられるようにすることだ。バングラデシュとパキスタンで組織化し、それらの国々をインドがたどっている持続可能性への道に向かわせる必要がある」

代表団は、いくつかの下流の事業を訪問した。解撤場の門の外で、男たちが間に合わせの作業場で働き、手作業で板金をディスク状に切断していた。これは鋤などの農具を作るために使われる。

50キロメートル先のバウナガールでは、代表団はSEWAが組織化する女性労働者を訪ねた。女性たちは電子廃棄物を加工したり、古いアンカーロープを再利用して椅子やベッドなどの家具に利用するむしろを作ったりしていた。

アクショングループ会合で、代議員は造船産業の傾向だけでなく船舶解撤産業の状況についても議論した。国際海事機構が海運業からの温室効果ガス排出50%削減を目標に掲げたことで、船舶の設計方法が変更されたり、代替燃料や推進法の実験が行われたりしている。この会合はハイブリッド方式を採用し、オーストラリア、ヨーロッパ、ラテンアメリカからもオンライン参加があった。

11月6日、インド船舶解撤産業のステークホルダーが会合を開き、香港条約の批准・発効に向けた進展をめぐり議論した。使用者代表は船舶リサイクル産業協会で、船主と解撤場との重要な仲介役を果たす現金購入者の代表はGMSだった。グジャラート海事委員会の代表も出席した。

会合の冒頭に、ハーブハジャン・シン・シドゥ・インド労働者連盟書記長と松﨑書記次長が挨拶に立った。松﨑書記次長は、2023年は条約批准にとって重要な年であり、来年バングラデシュが批准しなければ勢いがなくなってしまうと説明し、パキスタンが先ごろ批准を誓約したことに留意した。

インドが条約を批准してから、解撤場のほぼ80%が適合基準まで改良された。インドは道半ばであり、大幅な改善はあったが、まだかなりの労力を要する、と組合は考えている。組合は、産業全体の合同安全委員会の設立を当面の優先課題として確認した。

松﨑書記次長は、政労使アラン基準委員会を開発し、賃金、安全、労働者の宿舎、交通手段、訓練、下流、すべてのステークホルダーが関心を持つその他の分野で、共通基準に合意することを提案した。

                 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インダストリオール・アジア太平洋委員会、奮闘する労働者を断固支持

2022-11-03

【JCM記事要約】

  • インダストリオール・グローバル執行委員会の開催に先立ち、10月28日にインダストリオール・アジア太平洋地域執行委員会が開催され、同地域加盟組織から役50名の組合委員が参加した。
  • 会合では、インフレやエネルギー危機などを踏まえ、ミャンマーやウクライナの状況を中心に労働者が大きな圧力にさらされている実態をめぐり議論。また、同地域でのインダストリオールの活動に関し女性・青年の参画拡大の進展が報告された他、ロシアとウクライナの紛争の即時解決が要求された。

 

2022年11月3日:インダストリオール・アジア太平洋執行委員会は、今月中に開催されるグローバル執行委員会に先立って、10月28日に会合を開いた。現在の賃金危機に加えて地域で民主主義と基本的権利に対する攻撃が拡大していることを考慮して、労働者の権利促進に向けた労働組合の行動が重要な論点となった。
                                                      

この会合には地域のインダストリオール加盟組織から約50人の組合員が参加し、アジア太平洋の髙倉明副会長がプリハナニ・ボエナディ共同議長とともに司会を務めた。

「非常に大変な時期だ。世界中の労働者階級がウクライナの戦争の影響を受けている。アジア太平洋地域では、特にミャンマーとスリランカの状況が悪い。インダストリオールは、労働者の権利に対する攻撃の激化に直面して強硬に闘っている域内の加盟組織と連帯している」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

参加者は、急激なインフレ、エネルギー危機、食料不足、民主主義に対する攻撃、気候変動を踏まえて、特にミャンマー、ウクライナ、スリランカの労働者の不安定な状況を中心に、労働者が非常に大きな圧力にさらされている実態をめぐって討議した。

「経済危機、気候変動、民主化弾圧によって、世界中で不平等が拡大している。この地域では労働組合権に対する攻撃が激化し、軍事政権下のミャンマーでは活動家が迫害されている。労働者の権利を守るためにインダストリオールとして統一行動を取り続けることが重要だ」と髙倉明副会長は述べた。

スリランカの加盟組織が、食料価格上昇率が94%に達した一方で、労働者の賃金は低迷していると語った。労働者は、今では経済危機に見舞われる前の3倍になった光熱費の支払いに苦労している。労働組合は何度か政府に嘆願書を送り、全国最低賃金を引き上げ、労働者に救済手当を支給するよう要求したが、政府は組合に関与したがっていない。

軍事政権下ではデュー・ディリジェンスを実施できないので、インダストリオールは世界的ブランドにミャンマーでの事業中止を促している。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、昨年9月に大会で採択されたアクション・プランに従ってインダストリオールが全世界で実施している行動に焦点を当てた。

この地域でインダストリオールが実施した活動に関して、労働組合活動への女性・青年の参画拡大の進展が報告された。

執行委員会は、地球規模の影響を及ぼしているロシアとウクライナの紛争の即時解決を要求した。

                    

 

 

 

 

 

世界の組合指導者が素材金属産業の未来めぐり議論

2022-10-14

【JCM記事要約】

  • 10月11日~12日、インダストリオール素材金属運営委員会がオンラインにて開催された。会合で参加者は、生産のデジタル化に伴う鉄鋼・アルミニウム産業の職務・技能要件や労働環境の変化への対応方法や、認定鉄鋼生産によって温室効果ガス(GHG)排出が少なく労働条件の良い鉄鋼生産を促進する方法の課題と機会について議論を行った。
  • インダストリオールのマティアス素材金属担当部長は、デジタル化によって生じている変化を乗り切り公正な移行にしなければならない、と述べた。また、インダストリオールのクリスティン書記次長は、参加者へ対し、この産業でより良く職場を保護するために行動を起こすよう求めた。

 

2022年10月14日:10月11-12日、インダストリオール素材金属運営委員会がオンライン会合を開催、世界的な危機に直面している鉄鋼・アルミ産業の未来について議論した。
                                                      

サンジョット・バダブカール(インドSMEFI)、デイブ・マッコール(米USW)両共同部会長が対話を主導した。

素材金属産業は、ロシアのウクライナ侵攻に起因する供給危機の被害を受けている。市場は不安定で、中国など一部の生産国は、過剰設備の増大と需要の低迷にもかかわらず能力を拡大している。加えて、2つの傾向がこの部門に大変革をもたらしている。温室効果ガス(GHG)排出を削減するために、特に全世界の産業GHG排出の3分の1を占める鉄鋼業で、生産体制の新設や変更が必要になっている。それから、この産業でカーボンニュートラルを達成するための新技術が必要である。そのような技術はすでに利用できるが、非常にコストが高く莫大な投資を必要とする。

生産のデジタル化に伴って、鉄鋼・アルミニウム産業の職務・技能要件や労働環境が変化している。インダストリー4.0は雇用――少なくとも伝統的な雇用にとって脅威である。組合指導者は運営委員会で、これらの変化への対応方法について議論した。インダストリオールは加盟組織を支援しているが、世界の生産能力・生産高の50%超を占めている最大の生産国である中国がGHG排出削減努力に参加しない限り、措置の効果は限られている。それどころか中国は、従来型の溶鉱炉で大量の低価格鉄鋼を生産している。

参加者は、認定鉄鋼生産によってGHG排出が少なく労働条件の良い鉄鋼生産を促進する方法の課題と機会について、マルチステークホルダー標準機構であるレスポンシブル・スチールのアニー・ヒートンCEOとも討議した。アニー・ヒートンは、すべてのインダストリオール加盟組織に対し、市民団体のメンバーとしてレスポンシブル・スチールに加わるよう勧めた。

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長が委員会で演説し、この産業でよりよく職場を保護するために行動を起こすよう求めた。

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属担当部長が、加盟組織に次のように要請した。

「生じている変化を受け入れなければならない。デジタル化はこの部門を転換しており、CO2フットプリントの削減は産業・労働者双方にとって大きな課題だ。雇用と労働条件を守るために、加盟組織と組合員を導いて変化を乗り切らなければならない。これを公正な移行にしなければならないし、そうするつもりだ。これは私たちと姉妹組織インダストリオール・ヨーロッパ労働組合が、今月のOECD鉄鋼委員会でTUACとともに要求したことでもある。警戒を怠らず、加盟組織にさまざまな手段を提供していく。労働者に素材金属産業の移行の重荷を背負わせてはならない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国際連帯で労働者のために合意を確保

2022-10-11

【JCM記事要約】

  • 閉鎖されたフォード・チェンナイ(インド)工場にて、労働者の解雇手当をめぐる交渉が難航していたが、2022年7月に組合とフォード経営陣が最終的に合意。従業員は、勤続年数に応じた手当や一時金、2022年9月までの賃金を受け取ることができる。
  • インダストリオールのゲオルグ自動車担当部長は、これは交渉プロセスの重要性を示した労働組合間の国際連帯の顕著な一例であり、1年に及ぶ闘いが最終的に成果を上げ合意に至ったことを歓迎する、と述べた。

 

2022年10月11日:全米自動車労組とインダストリオール、チェンナイ・フォード従業員組合は、インド・チェンナイの大手自動車会社フォードの工場で労働者のために適正な解雇手当を何とか確保した。
                                                      

フォード・インディアは2021年、インドでの車両製造を中止すると発表した。サナンドの2工場のうち、1つはタタ・パッセンジャー・エレクトリック・モビリティー・リミテッド(TPEML)に買収され、エンジン工場は操業を続ける。2工場に1工場が閉鎖され、1工場は引き続き操業する。サナンド・フォード従業員組合は、全米自動車労組(UAW)、インダストリオールおよびTPEMLの組合の支援によって、雇用ならびに賃金、その他の便宜、勤務年数の継続に成功した。

チェンナイの組立工場は買い手が見つからなかったため閉鎖されることになり、労働者が失業し、大勢が経済的苦境に陥った。交渉プロセスは1年間続き、チェンナイ・フォード従業員組合(CFEU)は経営側に懸念を表明して雇用保障を要求した。

2011年には、アメリカの加盟組織UAW指揮下のグローバルな労働組合同盟がCFEUの承認を積極的に支援した。UAWとインダストリオールは2021年の工場閉鎖を見越して、労働者のために公正な報酬を確保する闘いにおいて、2592人の労働者を代表する同労組を断固支持した。

2021年9月、UAW、インダストリオール、チェンナイ工場とサナンド工場のフォード労働者を代表する組合が、フォード経営陣との交渉に先立って、インダストリオール南アジア地域事務所の調整で作業部会を設置した。毎週会合を開き、フォード労組が作成した要求リストについて議論した。支援を期待してタタ・モーターズの組合との同盟も模索した。必要に応じて、UAWがアメリカのフォード経営陣と連絡を取り合うことになった。

しかし、解雇手当をめぐる交渉が行き詰まり、組合は2022年7月に労働省に調停を求めた。数回の政労使交渉を経て、組合とフォード経営陣は、チェンナイ工場労働者の解雇手当について最終的に合意に達した。労働者は、完了した勤務年数1年につき給与総額の平均140日分に等しい手当、15万インド・ルピー(1837米ドル)の一時金、2022年9月30日までの賃金を受け取る。

「雇用は確保できなかったにしても、組合が何とか満足のいく解決を取り決めることができたので、これは私たちにとって大勝利だ。特に、フォード・ブランドが今後3年以内にインドで再発売される場合は、実績に基づいて私たちが優先されると定めた条項を歓迎する。この困難な時期に励まし支援してくれたインダストリオールとUAWの同僚に感謝する」とCFEUのスレシュ・S書記長は言う。

「多国籍企業には労働者とその家族の幸福を確保する社会的責任があり、1年に及ぶ闘いが最終的に成果を上げたと私たちは考えている。インダストリオールは、この合意を歓迎する。これは労働組合間の国際連帯の注目に値する例であり、交渉プロセスの重要性を示した」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。

 

 

 

 

 

 

 

公正な未来と不平等の撤廃を要求!

2022-10-11

【JCM記事要約】

  • 10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーに世界中の組合が行動を起こし、より良い未来を要求した。日本では、インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会(JLC)が賃金平等セミナーを開催。髙倉JLC議長はセミナーにて、賃上げは不平等をなくすための1つの手段であり、現在賃金を重点に置き来年の春闘へ向け準備を進めている、と述べた。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、不平等が悪化しているのにも関わらず政府や政治家がこの状況を改善できていないため、今回の世界行動デーでの行動のように、加盟組織を含む世界中の組合が尽力していることを称賛した。

 

2022年10月11日:すべての場所の労働者が生活費危機に直面しており、急激なインフレとエネルギー費の上昇に賃上げが追いついていないうえに、組合と労働者の権利が攻撃されている。不平等危機の拡大を受けて、フィリピン、バングラデシュからタンザニア、ペルーに至る組合が10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーに行動を起こし、より良い未来を要求した。
                                                      

ジョージアでは、組合が適正な賃金と不平等に対する認識を高めるために街頭で写真展を開いた。

インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会(JLC)は、賃金が30年間上がっていない現状に関するセミナーを開催し、不公正分配をなくすための解決策について議論した。このセミナーは来年の賃金交渉の準備が始まろうとしている中で開催された。

髙倉JLC議長が、企業収益が増加している状況下での生活費危機に言及した。

「賃上げが物価高に取り組んで不平等をなくすための効果的な解決策であることについては、組合だけでなく社会一般の意見が一致している。私たちは春闘に備えており、これは今年、私たちにとってチャンスだ。現在、賃金に重点を置いている。賃金が上がっても私たち労働者が物を買うことができなければ、景気は回復しない」

イラクの組合が労働者にディーセント・ワーク行動デー、不安定な契約、賃金に関する情報を提供するために行動を起こした際、アラー・オーデ・フセイン電力部門一般労組会長は次のように述べた。

「社会構造が引き裂かれており、世界中の人々と社会と労働者が、大量失業、割に合わない仕事、インフォーマル経済が拡大する中での不安定な契約に加えて、歴史的水準の不平等にさらされている。COVID-19パンデミックがもたらした健康危機から脱出しようと試みる中で、私たちは生活費、エネルギー・食料安全保障、気候の危機で身動きが取れない」

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「国際機関と多くの政府が不平等に対して警告しているにもかかわらず、この状況は至る所で悪化している。政府と政治家がこの危機を解決できていないので、ディーセント・ワーク世界行動デー前後に実施された行動に見られるように、組合がさらに力を入れている。もうたくさんだ、追加払いの時だという要求に加盟組織が加わっていることを誇りに思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OECD鉄鋼委員会――労働者は公正な移行を要求!

2022-09-22

【JCM記事要約】

  • 9月19日-20日にパリで開催された第92回OECD鉄鋼委員会に、政府・使用者・労働組合と、その他ステークホルダーが対面で参加した。会合では、労働組合がエネルギー危機とウクライナの戦争が鉄鋼労働者に及ぼす影響を検討するよう要求、OECD加盟国はこの部門の脱炭素化にさらなる努力を払う必要があると合意した。
  • インダストリオールのマティアス素材金属・機械エンジニアリング担当部長は、インダストリオールはグリーンでデジタルな移行が使用者と労働組合の間にて責任を持って管理されることを要求しており、さらにTUACとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合と共に、社会的責任を持って脱炭素を管理しなければならない、と強調した

 

2022年9月22日:インダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合ならびにTUACはOECD鉄鋼委員会に対し、1人の鉄鋼労働者も置き去りにしないようにするために今すぐ行動を起こすよう求めた。
                                                      

第92回OECD鉄鋼委員会が9月19-20日にパリで開かれ、政府、使用者、労働組合その他のステークホルダーがほぼ3年ぶりに再び顔を合わせた。

エネルギー危機とウクライナの戦争が2日間の行事の暗く厳しい背景となり、組合は委員会に、これらの課題が産業の中心にいる人々、すなわち鉄鋼労働者に及ぼす影響を検討するよう求めた。鉄鋼委員会の議題は初めて、労働組合代表が公正な移行のための労働者の優先課題を発表する十分な余地を与えた。TUACとそのパートナーである世界および欧州の労働組合は、デジタルでグリーンな移行が鉄鋼労働者に突きつける課題と、このプロセスを進めやすくするために労働組合とOECDが取り得る行動について説明し、鉄鋼委員会に対し、その任務の一環としてこの部門の労働動態に細心の注意を払うよう促した。

このメッセージは議長声明に反映され、初めて「この鉄鋼業調整プロセスで労働者の公正な移行を促進することの重要性」を認めた。

ベロニカ・ニルソンTUAC書記長代理が次のようにコメントした。

「鉄鋼業の脱炭素化は世界的な優先課題であり、OECD諸国はこの分野で真のリーダーシップを発揮しつつ、移行が責任を持って管理されるよう確保しなければならない。TUACはすべての関連OECD機関で労働組合の懸念を表明し、加盟国に鉄鋼部門ならびに他の部門の公正な移行のために具体的行動を起こすよう求めていく」

さまざまな専門家が発言し、鉄鋼部門に対するエネルギー危機の影響(このエネルギー集約型部門の脱炭素化という課題に対する影響など)を発表した。ウクライナの戦争とロシアに対するその後の制裁は、エネルギーと原料へのアクセスと価格に関して鉄鋼部門に圧力をかけ続けている。世界的不況が迫っている中で、このような困難な時期に部門の脱炭素化にさらなる努力を払う必要があることについて、OECD加盟国の意見が一致した。

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属担当部長

 

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属・機械エンジニアリング担当部長が次のように述べた。

「私たちは鉄鋼メーカーについて話すとき、要するに鉄鋼労働者、つまり自分たちの手と頭で鉄鋼を生産する男女労働者の話をしている。彼らはグリーンでデジタルな移行の中心におり、インダストリオール・グローバルユニオンは、これらの移行が使用者と労働組合の間で責任を持って管理されることを要求している」

「労働協約と公正な賃金に支えられた真の契約により、これを公正な移行にするための措置(新しいグリーンまたはデジタルな雇用が良質な雇用になるようにする措置など)に関する議論を歓迎する」

TUACとインダストリオール・グローバル・ユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、社会的責任を持って脱炭素を管理しなければならないと強調した。労働組合は、グリーンであれデジタルであれ、あらゆる移行と並行して質の高い社会的対話を行うだけでなく、どの労働者や地域も置き去りにしないようにするための措置を導入しなければならないと主張している。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長が述べた。

「労働組合は、グリーンでデジタルな移行の議論にあたって組合を参加させることを要求する。私たちの公正な移行宣言に述べられているように、『私たち抜きに私たちのことを決めるな!』ということだ。質の高い社会的対話は、移行を社会的に公正な方法で管理するよう確保するうえで不可欠な手段だ。1人の労働者も置き去りにしてはならない」

TUACは鉄鋼業の脱炭素化を世界的な優先課題と考えており、OECD諸国は、この分野で真のリーダーシップを発揮しつつ、移行が責任を持って管理されるようにしなければならない。TUACは、すべての関連OECD委員会で労働組合の懸念を提起し続け、鉄鋼部門はじめ各部門の公正な移行を強く要求していく。

                 

 

 

 

 

 

 

 

インドの裁判所でゼネラル・モーターズ従業員に有利な判決

2022-09-21

【JCM記事要約】

  • ゼネラル・モーターズ・インディア社が、工場を閉鎖したことにより失業した1,000人以上の労働者へ対し、給料の50%を支払うべきという労働裁判所からの指示に異議を申し立てていたが、最高裁判所はこの申し立てを却下。
  • インダストリオール南アジア地域事務所・アプールヴァ所長は、ゼネラル・モーターズ従業員組合の労働者を守るための闘いを支持した上で、同社に裁判所命令を直ちに実施するよう要求する、とした。

 

2022年9月21日:インドの裁判所は、不当解雇された労働者1086人に給料の50%を支払うようゼネラル・モーターズ・インディアに指示した以前の命令に異議を唱える同社の申し立てを却下した。
                                                      

ゼネラル・モーターズ・インディアは2020年12月、タレガオン工場での生産を停止し、1000人を超える労働者が失業した。政府が工場閉鎖の申請を拒絶したにもかかわらず、生産が停止された。

統一労働者連盟を通してインダストリオールに加盟しているゼネラル・モーターズ従業員組合は、2021年7月に1086人の労働者を不当に解雇した同社の不当労働行為を労働審判所に提訴した。

労働審判所は2022年1月に同労組に有利な判決を下し、2022年4月から提訴に関する最終決定が下されるまで、労働者に給料の50%を支払うよう同社に指示した。

ゼネラル・モーターズ・インディアは裁判所命令の実施を拒否し、ボンベイ最高裁判所で異議を申し立てた。9月12日、最高裁判所は申し立てを却下した。

ゼネラル・モーターズ従業員組合のサンディープ・ベガデ会長は言う。

「裁判所が私たちに有利な判決を下したことに大変満足しているが、闘いはここで終わらない。1086人の労働者は2021年7月から賃金をまったく支払われていない。会社側は、労働者に賃金の50%を支払えという労働審判所の命令に従うことを拒んでいる」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。

「インダストリオールは、労働者の権利を守る闘いにおいてゼネラル・モーターズ従業員組合を断固支持する。ゼネラル・モーターズ・インディアに対し、裁判所命令を直ちに実施するよう求める」

 

公正な未来のために団結――今こそ賃上げを!

2022-09-20

2022年9月20日:世界中で不平等が拡大している。行動を起こさなければ、私たちは過去1世紀間に獲得した利益を失う危険がある。今年10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーに向けて、インダストリオールと加盟組織は、より良い未来を要求するために協調して世界的な行動を起こしている。
                                                      

労働組合は世界中で攻撃され、力の低下に伴って労働者が受け取る富が減っている。COVIDパンデミックが決定的な引き金となって、世界を不平等の急拡大に陥れた。

今年10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーに向けて、私たちはより良い未来を要求している。高まり続ける不平等危機について声をそろえて発言しなければならないので、組合の行動が、このキャンペーンと世界行動デーの成功の鍵である。

「私たちは公正な未来の計画を立てている。それを明確に表現し、協力体制を構築し、そのために共闘する必要がある」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

あなたと所属組合は何をすることができるか?

各自の部門や国の不平等に関する主な問題に応じて、国家・地域レベルの優先課題や状況が異なるため、行動はさまざまだろう。次のような行動が考えられる。

デモ

  • 行進、デモ、公開の集会、創造的な街頭行動
  • メディア・キャンペーン
  • 不平等問題とその解決方法に関するオンラインリソースの創出
  • 意見記事の発表や国内外メディアによる報道
  • ソーシャルメディア・キャンペーン
  • オンラインイベント(ウェビナーなど)

多国籍キャンペーン

  • 不平等の拡大を助長していることが確認された多国籍企業に的を絞った世界的なキャンペーン
  • 標的企業からより良い条件を勝ち取るための団体交渉キャンペーン
  • 労働者の問題を不平等と結びつける組織化キャンペーン

政治キャンペーン

  • 不平等をめぐる明確な要求による政府や政治家へのロビー活動
  • 危機の解決策を提供する選挙立候補者を支援する選挙運動

公正な未来の基礎的要素

自分に最も関連のある基礎的要素を使ってポスターを印刷し、それを掲げている写真を撮って10月7日までに私たちに送り、当日に利用できるようにしてほしい。

団結すれば変化をもたらすことができる。10月7日にソーシャルメディアを利用し、私たちが公正な未来のために団結していることを示そう。下の画像または独自の資料を使い、#JustFutureのハッシュタグをつけてほしい。

10月7日に行動を起こせない組合は、9月28日から10月18日までの間に行動を起こす。

結集して公正な未来のために公平な取り分を要求しよう!

以下はソーシャルメディアで共有するための基礎的要素:

                     

 

 

 

 

 

 

 

 

国際同一賃金デー

2022-09-17

【JCM記事要約】

  • ILOの世界賃金報告2020-21によると、パンデミックは男性と比較し女性の総賃金により影響を及ぼしており、これによりさらにジェンダー賃金格差が広がる可能性がある。また、WEF(世界経済フォーラム)グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2022によると、今後生活費危機の悪化が予想されており、こちらも女性の賃金に悪影響を与える。
  • 男女賃金格差の解消に向けた手段としては、賃金透明性の確保や、団体交渉、ジェンダーニュートラルな職務分類と評価等が挙げられる。インダストリオールとしては、9月18日の国際同一賃金デーにあたり、「今すぐ賃金平等!」を要求する。

 

2022年9月17日:インダストリオールは9月18日の国際同一賃金デーにあたり、「今すぐ賃金平等!」を要求する。同一価値労働同一賃金は認知された人権であり、国際条約に明記されている。それにもかかわらず、ジェンダー賃金格差は根強い地球規模の問題であり、世界中で平均20%に達している。
                                                      

ILOの世界賃金報告2020-21によると、パンデミックの影響は男性と比較して女性の総賃金に不釣合いに影響を及ぼしている。このように女性のほうが大きく賃金が減っているということは、すでに存在していたジェンダー賃金格差が広がる危険があることを意味する。

さらに、WEF(世界経済フォーラム)グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2022によると、現在の生活費危機の悪化が予想されることも、男性より女性に厳しい影響を与える可能性がある。女性は相変わらず男性より所得・貯蓄水準が低いからである。

ジェンダー賃金格差は多くの要因の結果である。

同一価値労働に対する男女同一報酬の原則は、ILO同一報酬条約(第100号)と差別待遇(雇用および職業)条約(第111号)で規定されている。どちらの文書も、仕事の世界における差別的慣行(差別的な賃金慣行を含む)の撤廃を目指している。

最近のILO報告で強調されているように、ジェンダー賃金格差に取り組む必要があることにもはや議論の余地はなく、問題はどうやって取り組むかである。

賃金透明性措置は、既存の男女賃金格差の確認に効果を上げる可能性があり、したがってジェンダー賃金格差に取り組む手段になり得る。

その他、団体交渉、ジェンダーニュートラルな職務分類と評価、最低賃金の引き上げ、女性のための公正で包括的なキャリア開発も、組合がジェンダー賃金格差の解消に利用している方法・手段である。

インダストリオール加盟組織は行動を起こしている! 今すぐジェンダー平等が必要だ!

              

 

 

 

 

 

 

ミャンマーで責任あるビジネスは不可能との報告

2022-09-16

【JCM記事要約】

  • 倫理的貿易イニシアティブ(ETI)の委託によりミャンマーに関する報告が発表された。報告書では、ミャンマーの軍事政権では強制労働や児童労働、ジェンダーに基づく暴力などの人権侵害あったことを強調しており、このような状況下ではブランドがミャンマーでデュー・ディリジェンスを実施することはできないと指摘している。
  • この報告書によりインダストリオールの見解が裏付けられたことになり、インダストリオール・アトレ書記長は、この報告はミャンマーで責任をもってビジネスを行う方法はないことを包括的に示しており、まだこの国で活動しているブランドは、責任ある撤退のために今すぐ交渉を始める必要がある、と改めて主張した。

 

2022年9月16日:待望の第三者による報告は、ミャンマーで責任あるビジネスを行うことはできないというインダストリオール・グローバルユニオンの見解を裏付けている。インダストリオールは、ミャンマーから調達しているブランドに再び書簡を送り、責任ある撤退に関する交渉の開始を促した。
                                                      

倫理的貿易イニシアティブ(ETI)が委託したこの報告は、ブランドがミャンマーでデュー・ディリジェンスを実施し、世界的に認められた責任あるビジネス基準に従うことは不可能であることを確認している。ETIは、労働組合とNGO、企業で構成されるマルチステークホルダー機関である。ETIのメンバーには、H&M、インディテックス、プリマーク、リドル、ニュールックなど、現地組合とインダストリオールが再三にわたって投資の引き揚げを要求しているにもかかわらず、ミャンマーでの生産を続けている企業が含まれる。

この報告は、軍事政権は人道に反する罪を犯しており、強制労働、児童労働、ジェンダーに基づく暴力、戦争犯罪などの人権侵害の過去があることを強調している。2021年2月のクーデターから14日以内に、軍事政権は人権を凍結して反体制派を追跡・拘束するために法律を変更した。

このような状況では、世界的ブランドがデュー・ディリジェンスを実施することはできない。結社の自由がない――労働組合その他の労働者組織は工場レベルにおいてさえ機能することができず、軍事政権は労働組合運動などの民主的組織を解体しようと積極的に試みている。労働組合は禁止されており、組合指導者301人が逮捕され、55人が殺害され、組合執行委員27人に逮捕状が出ている。

労働者に外出禁止令後の帰宅を要求する強制的サービス残業などの強制労働が広く見られ、労働者は軍や警察、犯罪組織に襲われる危険にさらされている。女性労働者が帰宅途中に強姦された事件が少なくとも1件報告されている。不安定雇用の急拡大と賃金崩壊によって事態が悪化しており、フルタイム雇用の労働者でさえニーズを満たせなくなっている。

ILO(国際労働機関)をはじめとする国連機関や国際機関の活動が大幅に削減されているため、救済を利用することができない。ACTイニシアティブなど多くの組織がミャンマーでの活動を停止し、西側諸国政府は活動を制限している。国際的ブランドには軍事政権に対する影響力がない。

腐敗がはびこり、労働者は仕事を得るために役人に賄賂を贈らなければならず、工場主が治安部隊に賄賂を贈って労働争議に介入させたり、労働者を威嚇させたりしている事例がいくつかある。これらの賄賂の費用は労働者の賃金から差し引かれた。

軍事政権は経済の統制を強め、より多くの部門に参入しているため、繊維・衣料部門は他の経済部門から距離を置くことができない。特に、輸送・物流インフラの大部分が軍に支配され、軍は不動産や銀行業、公益事業への関心も高めている。

ミャンマーからの調達を続けるブランドは、定着した国際デュー・ディリジェンス文書に違反することになり、法律(ドイツのデュー・ディリジェンス法や強制労働に関するEU法など)に違反したり、制裁を破ったりするかもしれない。報告は、これらのブランドは評判や財務、法律の面で影響を受けると警告する。

ミャンマーの経済は、軍が自国民に宣戦布告したために、すでに著しく縮小している。世界的ブランドがミャンマーから撤退すれば、さらに失業が増える。世界的ブランドは、労働者への補償金の支払いなど、同国からの責任ある撤退について交渉する必要がある。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

「私たちがすでに1年前から主張してきたことを、この報告が確認してくれるのを待ち望んでいた。言い訳はもうたくさんだ。この報告は、ミャンマーで責任をもってビジネスを行う方法はないことを包括的に示している。まだこの国で活動しているブランドは、責任ある撤退のために今すぐ交渉を始める必要がある」

                        

 

 

 

 

 

アルゼンチン上院、自動車産業振興法を可決

2022-09-14

 

 

 

 

 

 

【JCM記事要約】

  • 9月1日、アルゼンチンの上院が、インダストリオール加盟組織が先導し支援した自動車部品産業とそのバリューチェーンへの投資を刺激する法案を承認した。この法律の目的はバリューチェーン統合の確保や部門の競争力強化、より多額の投資の誘致等であり、これによりアルゼンチンはより多くの雇用を創出することができる。
  • インダストリオール地域事務所のクリスチャン副所長は、組合が法案に向け商工会議所と国家・州・地方政府に支援を促したことを称賛する一方で、同地域の産業の空洞化と世界の自動車産業の変化を考慮すると先を見越した行動が必要だ、と述べた。

 

2022年9月14日:アルゼンチンの上院は、自動車産業振興法案を全会一致で承認した。この取り組みは同国のインダストリオール加盟組織が先導し支援した。
                                                      

9月1日、上院で自動車部品産業とそのバリューチェーンへの投資を刺激する法案が投票に付され、全会一致で承認された。

「この案は部門の草の根組合、労働組合ナショナルセンターおよび企業から出されたもので、国家的産業の成長(……)への確固たるコミットメントだ。この法律は、今後数年間のインテリジェントな産業開発プログラムと行動計画を定めている。1つの部門とそこで働く人々の成果であり、重要なこと、すなわち質の高い常用労働の保証および創出をないがしろにしてはいない」とインダストリオール加盟組織SMATAは声明で述べた。

SMATAとUOMの組合代表は2019年12月以降、法案を促進するために各種の議論に参加した。この法律の目的は、バリューチェーン統合の確保、部門の競争力強化、より多額の投資の誘致である。これによってアルゼンチンは工業化・多角化し、より多くの雇用を創出できるようになる。 

この制度は、償還期限を6年から3年(資本財の償却の場合は5年から3年)に短縮することによって、付加価値税の早期還付など、自動車投資を促進する潜在的利益を定めている。

この法律は、新規投資促進プログラムの創出と、商工会議所と労働組合が任命したメンバーから成るモビリティー研究所の設立も定めている。

アルゼンチンのセルヒオ・マッサ経済相は言う。

「自動車産業のおかげで、アルゼンチンは地域レベルで戦略的プレーヤーの地位を得ている。生産はパンデミック前の水準を超えており[2019年比50%増]、今後の見通しは非常に明るい。[……]国と労働者と企業が協力し続ければ、この部門は4億米ドルの貿易黒字を生み出す可能性がある」

インダストリオール地域事務所のクリスチャン・アレハンドロ・バレリオ副所長は言う。

「アルゼンチンの組合が中心となって産業政策や産業法令を推進していることを称賛する。組合は商工会議所と国家・州・地方政府に、この取り組みへの支援を促すべく尽力した」

「この地域における産業の空洞化と世界の自動車産業の変化を考慮すれば、先を見越した行動が不可欠だ」

 

マレーシアのアップル・サプライヤーは組合つぶしを即時中止せよ

2022-09-13

【JCM記事要約】

  • マレーシアの電子産業労働組合協議会北部地域(EIEUNR)は、アップルのサプライヤーであるモレックスに対し、組合つぶしの中止と労働者の権利の尊重を求めるオンライン請願を開始した。7か月前には、EIEUNRへの加入に関する無記名投票へ備えていた際に、同社経営陣は労働者へ対し、同労組に投票すればボーナスと給付を失うと脅したという組合つぶしが発生していた。
  • インダストリオールのアレクサンダー電機・電子担当部長は、経営陣の脅しを録音した音声記録が証拠として残っているため同社はこれに対応すべきであり、さらにインダストリオールとしてアップルへ対し、サプライチェーンにおける労働者の権利の尊重について同社の行動規範をチェックするよう要求する、とした。

 

2022年9月13日:マレーシアの電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)はオンライン請願を開始し、アップルのサプライヤーであるモレックスに対し、組合つぶしの中止と、自分たちの組合を選んで使用者と団体交渉を行う労働者の権利の尊重を求めている。
                                                      

EIEUNRは7カ月前、労働者がインダストリオール加盟組織EIEUNRへの加入に関する無記名投票に備えていた際、大手テクノロジー企業アップルのサプライヤーであるモレックス・マレーシアでの組合つぶしを暴いた。

経営側は労働者と対話集会を開き、同労組に投票すればボーナスと給付を失うことになると脅した

労使関係局は調査を開始し、無記名投票を延期した。EIEUNRは、同社経営陣の脅しを録音した音声記録を提出したが、その後、組合員をさらなる脅迫にさらす可能性があるため、同局による事情聴取の要請を断っている。

「世界中の同志に、このオンライン請願を支援するよう勧める。無記名投票に勝たなければ、労働者は団体交渉権を与えられない。この組合つぶしはマレーシアの法律ならびに国際労働基準に違反しているが、これまでのところ、同社に対して厳しい処置は取られていない」とデビッド・アルラッペンEIEUNR書記長は言う。

「モレックスの労働者が組合を自由に選択する権利を享受できないというのは言語道断だ。労働者の権利が奪われているという明らかな証拠があり、モレックスは直ちにそれに取り組むべきだ。同時に、インダストリオールはアップルに、サプライチェーンにおける労働者の権利の尊重について同社の行動規範をチェックし、EIEUNRがペナンのモレックス工場でこれ以上遅れることなく自由意意により承認されるようにすることを改めて求めている」とアレクサンダー・イワーノウ・インダストリオール電機・電子担当部長は言う。

モレックスは電気・電子・光ファイバー製品を主力とする多国籍企業である。同社の行動規範は、非差別原則と合法的雇用慣行(労働者の結社の自由の尊重を含む)の遵守を定めている。アップルはモレックスの大口顧客の1つである。

 

アルセロール・ミッタルで組合が対話を要求

2022-09-13

【JCM記事要約】

  • 9月6日~7日に開催された、アルセロール・ミッタル・グローバル組合ネットワークのオンライン会合に18カ国から70人以上の労働組合員が参加した。会合では、同社との社会的対話に関して議論が行われた他、安全衛生に関しては、死亡事故の増加を受け、合同グローバル安全衛生協議会の活動を強化・最適化する必要があるとの合意がなされた。
  • インダストリオールのマティアス素材金属担当部長は、インダストリオールは同社が社会的対話を開始することを期待しており、そのためにもGFAの締結を要求してきた。今般は新しい宣言を採択し会合後にグループ経営陣に提出した、と述べた。

 

2022年9月13日:アルセロール・ミッタル・グローバル組合ネットワークは、9月6-7日のバーチャルミーティングで18カ国から70人以上の労働組合員を集め、社会的対話と安全衛生について議論した。
                                                      

2021年と2022年前半の利益はアルセロール・ミッタル史上最高である。この業績は、ウクライナの戦争によってウクライナ、カザフスタン、またヨーロッパでも生産が妨げられているにもかかわらず達成された。同時に、稼働していない溶鉱炉がますます増えており、労働者はパートタイム失業を強いられて賃金が減っている。

ウクライナのナタリア・マリニュクが開会の辞を述べ、クルィヴィーイ・リーフの絶望的な状況について報告した。参加者は、ウクライナのアルセロール・ミッタル鉄鋼労働者と連帯する意向を再確認した。

同社の社会的対話をめぐって活発に議論した。ブラジルの加盟組織が、組合や職場委員と対話を始めようという現地経営陣の意欲の不足を指摘した。欧州のいくつかの加盟組織は、経営側が代議員数の大幅削減によって欧州従業員代表委員会を活動不能に追い込もうとしていることについて不満を述べた。南アフリカでは、今年に入って激しい争いが繰り広げられていたが、賃金・労働条件改善を求めるストに関して裁判所がインダストリオール加盟組織に有利な判決を下した結果、ようやく終息した。

執行副社長兼人事責任者のバート・ウィルと後任のステファニー・ウェルナー=ディーツを代表とする経営陣が2回のセッションに加わり、質問や発言に対応した。

参加者全員が、安全衛生における最近の展開、特に同社での死亡事故の増加に強硬に異議を申し立てた。合同グローバル安全衛生協議会の活動を強化・最適化する必要があることについて、全員の意見が一致した。

「会合でバート・ウィルとステファニー・ウェルナー=ディーツと会談できてうれしい。組合と対話しようという姿勢を評価する。だが、ブラジルのインダストリオール加盟組織が会合で話してくれたように、ブラジルはじめ多くの国々で同様の姿勢が見られない。同社が全レベルで社会的対話を始めるよう期待する。だから私たちは、繰り返しグローバル枠組み協定を要求している」

「この目的に向けて、私たちはアルセロール・ミッタルの明確なコミットメントによるグローバル構造を求めており、それを必要としている。私たちが求めているのは耳当たりの良い言葉だけではなく、本格的な関与だ!長期目標に従って新しい宣言を採択し、会合後にグループ経営陣に提出した」とマティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属担当部長は述べた。