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わが国経済は2000年夏以降、悪化の一途をたどり、2001年4〜6月期には名目GDP成長率が実に△1.9%の大幅マイナス成長となりました。一方、経済活動全体の物価水準を表すGDPデフレーターは同じく4〜6月期に△1.1%となっており、デフレ(持続的な物価の下落)が、生産と需要の縮小をもたらす、デフレスパイラルへの突入が懸念されています。2001年の3月と8月には量的金融緩和が実施され、年央の景気指標では、それによる効果も一部出てきていましたが、9月11日にアメリカで同時多発テロが発生し、10月にはテロの首謀者ウサマ=ビンラーディンとこれを保護するタリバンへの攻撃が開始されるなど、世界情勢はまさに激動しており、わが国経済はきわめて緊迫した状況となっています。 こうしたなかで2001年7月、完全失業率が統計開始以来はじめて5%台に突入しました。これまでも減少が続いていた常雇はもとより、拡大していた臨時雇用についても、減少に転ずる状況となっています。 |
1.2002年闘争をとりまく経済情勢 |
2.金属産業における賃金・労働時間の状況 |
3.金属産業の動向 |
4.国際経済情勢 |
5.国際労働運動の動向 |
1.マクロ経済の動向 |
2.量的金融緩和政策と同時多発テロ |
3.個人消費の動向 |
4.設備投資 |
5.わが国における貿易収支の動向と双子の赤字懸念 |
6.対中国投資および対中国貿易 |
7.企業収益の動向と勤労者に対する配分 |
8.物価の動向 |
9.雇用の動向 |
1.わが国の名目GDP成長率は、2000年度に△0.6%となり、98年度(△1.1%)、99年度(△0.2%)に続いて3年連続のマイナス成長となりました。 2.2001年4〜6月期の名目GDP成長率(前年比)について、需要項目別に見てみると、 3.2001年11月9日に発表された政府経済見通しの見直し試算によれば、2001年度の名目GDP成長率は△2.3%とされており、4年連続の名目マイナス成長ということになります。内外需の寄与度(△2.3%の内訳)は、内需△1.6%、外需△0.7%となっており、すでに発表されている2001年4〜6月期の実績に比べて、内需の落ち込みがより激しくなるという見通しになっています。なかでも民需は、すべての項目について前年割れが予測されており、とくに住宅投資は△8.0%、設備投資は△5.1%で、いずれも98年度以来の落ち込み幅が想定されています。(図表2) 1.2001年3月19日、日銀は、 2.2001年3月以降の量的金融緩和政策により、マネタリーベースの増加率は着実に高まっており、2001年7〜9月期には前年比10.4%、10月には14.3%に達しています。ある一定の名目GDP成長率を達成するために必要なマネタリーベースの増加率を計算する「マッカラム・ルール」によれば、2%程度の名目成長を達成するためには、12%程度のマネタリーベースが必要ということになりますが、現状では、ほぼこれに近い水準が確保されているといえます。(図表3) 3.量的金融緩和政策に対しては、いくらマネタリーベースを拡大しても、企業からの資金需要がなく、また銀行自体も不良債権に縛られて身動きがとれないため、銀行の貸出が増加せず、従って景気にも寄与しないのではないか、との批判があります。 4.東京株式市場・日経平均株価は、小泉内閣成立時には14,000円台だったのが、その後じりじりと値を下げ、7月には日本経済の生命線といわれた12,000円を下回って、まさに株価底割れの様相を呈しました。9月はじめには10,000円ぎりぎりの水準となり、大台割れ必至と見られていましたが、11日には同時多発テロが発生し、翌12日には一気に9,610円10銭まで下落しました。 1.総務省「家計調査」全国勤労者世帯における消費支出(名目)の動向を見ると、2000年12月から2001年3月にかけて、4カ月連続で前年実績を上回ることとなりました。4カ月連続のプラスは、98年以降では初めてのことです。平均消費性向も同じく4カ月連続で前年を上回りました。 2.勤労者世帯のうち、製造業で働く勤労者の世帯について見ると、2001年4〜9月期には、消費支出が前年比△3.4%となっており、勤労者世帯全体(△3.0%)に比べてマイナス幅が大きい状況となっています。平均消費性向でも、製造業世帯は前年に比べ-1.3ポイントとなっており、勤労者世帯全体(-1.1ポイント)に比べて低下幅がより大きくなっています。製造業世帯では、とくに家計を切り詰めている状況にあることがわかります。 3.販売統計では、小売業販売額が2000年1〜3月期に前年比0.8%となり、一時プラスに転じました。しかしながら、4〜6月期には△1.7%と再びマイナスに転じ、その後7月△2.7%、8月△3.8%、9月△2.5%と推移しています。 4.博報堂生活総合研究所が行っている「消費意欲指数」調査によると、2001年10月の消費意欲指数は調査開始以来最低だった9月の50.6をさらに下回り、49.7となっています。しかしながら男女別に見ると、女性については54.3と回復傾向が見られ、99年、2000年の同月の水準に近づいている状況にあります。 1.設備投資の先行指標である機械受注統計(船舶・電力を除く民需)は、2000年1〜3月期から10〜12月期にかけて、前年比2桁の大幅拡大が続いていましたが、その後2001年1〜3月期に4.6%、4〜6月期に0.8%と急激に鈍化し、7〜9月期には△10.5%の2桁マイナスに陥りました。しかしながら月ごとでは、8月に△13.4%だったのが、9月には△11.8%と若干ではありますが、マイナス幅が縮小しています。 2.2001年9月調査の日銀「短観」によれば、2001年度下期計画の設備投資額は、製造業で前年比△12.1%となっています。前回(6月時点)の調査に比べて、1.1ポイント下方修正されていることになります。 3.2001年3月からの量的金融緩和により、マネタリーベースの拡大が行われていますが、マネタリーベースの拡大は、銀行の貸出を通じて設備投資にも強い影響を与えています。マネタリーベースの推移と機械受注額の動向を長期的に見てみると、タイムラグを生じながらも、ほぼ同様の動きを見せていることがわかります。マネタリーベースの拡大は、設備資金の新規貸出とともに、機械受注統計によっても、実体経済への効果が立証されているといえます。(図表9) 1.わが国の貿易収支は、2001年に入って以降、急速に黒字幅が縮小しています。2001年1〜9月期の貿易黒字は約5兆円に止まり、前年同期の8兆6千億円に比べて3兆6千億円、約4割も減少しています。貿易黒字は、すでに99年、2000年と2年連続で減少していますが、この2年間にわたる減少幅(あわせて3兆3千億円)を上回る減少が、1〜9月期だけですでに生じています。 2.このような貿易構造の大きな変化は、生産拠点の海外移転による部分が大きいと指摘されていますが、その根底にはマクロ的な要因が作用しているものと考えられます。 1.中国は2001年11月、いよいよWTOに加盟しましたが、低廉な生産コスト、巨大な将来市場に加え、生産技術や製品の品質が急速に向上してきていること、IT分野でのめざましい人材供給が見られることなどから、中国が21世紀における「世界の工場」として、巨大な存在感を示すようになってきています。 2.グローバル市場において中国の存在感が増しているなか、わが国企業の対中国直接投資は減少傾向となっています。製造業の直接投資額は、95年度には3,368億円を記録していましたが、その後、ほぼ年を追って減少傾向をたどり、99年度には603億円と95年度のわずか17.9%に止まる状況となっています。投資件数でも、95年度の675件に対し、99年度にはわずか59件に激減しています。2000年度には、それぞれ840億円、86件に若干回復したものの、これは電機産業の投資額が357億円に達し、99年度の約5倍、ピークだった95年度(904億円)のほぼ4割の水準に回復していることによるものであり、電機産業以外の製造業では、投資額は2000年度も引き続き減少しています。(図表11) 3.わが国の貿易収支は、前述のとおり2001年1〜9月期に輸出が前年比△3.1%、輸入が8.2%となっていますが、対中国貿易だけを取り出してみると、輸出が20.2%、輸入が21.0%となっています。輸入の伸び率のほうが若干高いものの、輸出も健闘していることがわかります。対中国貿易は、かつては輸入の伸び率のほうが圧倒的に高かったのですが、その後は輸出入の伸び率が比較的、均衡する傾向が見られるようになっています。 4.金属産業が生産している輸出品目のうち、主要27品目について、「日本から世界全体への輸出品の単価」と「中国から日本への輸出品の単価」を算出し、日中の輸出単価の格差とその変化を、95年と2000年について見てみると、つぎのようになります。 1.2001年9月調査の日銀「短観」によれば、2001年度の収益予測は、売上高が全産業で△0.6%、製造業で△2.2%の減収となっています。前回(6月時点)調査に比べて、それぞれ全産業が1.4ポイント、製造業が3.0ポイントの大幅下方修正となりました。営業利益は全産業で△3.4%、製造業△13.6%の減益見通しで、これもそれぞれ10.3ポイント、19.1ポイントの大幅下方修正となっています。 2.金属産業の収益状況を業種ごとに見てみると、売上高は9業種(鉄鋼、非鉄金属、金属製品、一般機械、電気機械、造船・重機、自動車、その他輸送用機械、精密機械)のうち、自動車(プラス1.0%)を除く全業種で減収予測となっており、なかでも電気機械(△8.0%)、鉄鋼(△5.9%)の減収幅が大きくなっています。6月時点の調査では、9業種中6業種が増収見通しとなっていましたので、まさに様変わりの状況といえます。 3.このような収益動向のなかで、勤労者への配分も低下傾向が続いています。 4.わが国のGDPベースの労働分配率(就業者1人あたり名目GDP/雇用者1人あたり名目雇用者報酬)は、2000年度には66.1%となりました。前年に比べて0.6ポイント上昇したものの、90年度以降の11年間では、96年度の65.9%、99年度の65.5%に次いで3番目に低い水準となっています。 5.金属産業に関して、労働コストの付加価値創出力(労働コスト1単位あたりの名目GDP=名目GDP/雇用者報酬)を国際比較してみると、日本は労働コストの1.60倍の付加価値を創出していることになり、イタリア1.58倍、スウェーデン1.51倍、アメリカ1.44倍、ドイツ1.29倍、イギリス1.15倍を凌駕し、主要先進国中最高となっていることがわかります。 1.わが国の消費者物価上昇率(前年比)は、99年9月以降、26カ月連続でマイナスとなっています。99年度、2000年度の上昇率はともに△0.5%でしたが、2001年3月以降は一貫して△0.7〜△0.8%で推移しており、2001年4〜10月期では前年比上昇率が△0.8%となっています。(図表19) 2.消費者物価の動向を、2001年4〜9月の6カ月間について、財・サービス分類別に見てみると、まず財では、耐久消費財が前年比△7.1%に達しており、価格低下の激烈さが際立つ状況となっています。耐久消費財以外の財では、半耐久消費財が△1.6%、非耐久消費財が△0.5%となっており、その中身は、農水畜産物が△0.2%(ただし生鮮食品はプラス0.4%、コメは△3.8%)、食料工業製品が△0.9%、いわゆる「ユニクロ現象」の象徴である繊維製品でも、△2.4%というマイナス幅に止まっており、耐久消費財の価格低下に比べれば小さなものといえます。 3.国内卸売物価の動向を製品ごとに見ると、ほぼ消費者物価と同様の動きとなっています。2001年4〜10月期における前年比上昇率は、食料品が0.1%とほとんど横ばいとなっており、繊維製品も△1.1%に止まっていますが、これに対して、電気機器は△5.1%、鉄鋼△2.8%、輸送用機器△2.2%、精密機器△1.7%と、金属産業とくに電気機器のマイナス幅が大きくなっています。 1.完全失業率は、98年度4.3%、99年度4.7%、2000年度4.7%と高水準が続いていましたが、さらに2001年7月には5.02%、9月には5.30%と既往最悪を更新しています。一方、有効求人倍率は、99年度の0.49倍から、2000年12月には0.66倍まで回復しましたが、2001年に入って以降再び悪化し、2001年8月0.59倍、9月0.57倍になっています。(図表20) 2.2001年版の労働経済白書では、2001年1〜3月期におけるわが国の需要不足失業率と構造的・摩擦的失業率(潜在的失業率程度の成長が確保された場合でも存在する失業率)の推計を行っていますが、2001年1〜3月期の需要不足失業率は0.98%と前年同期の1.21%からやや回復していると推計しているのに対し、構造的・摩擦的失業率は3.77%と、前年同期の3.59%から0.18ポイント上昇しています。その後、景気の一層の悪化に伴い、需要不足失業率がさらに拡大していることが、失業率5%超えをもたらしているものと考えられます。(図表21) 3.2000年9月の男子・完全失業率(原数値)を「年齢階級別」にみてみると、15〜24歳が12.4%、25〜34歳が5.5%、35歳〜44歳が3.5%、45〜54歳が3.6%、55〜59歳が4.4%となっています。失業率が顕著に上昇する前の97暦年の数値と比較すると、15〜24歳の若年層および45〜54歳の中高年層の悪化が目立ちます。(図表22) 4.失業期間が1年以上の割合は、2000年8月の25.8%から2001年8月には27.4%へと悪化しています。男子のみでは32.0%となっており、年齢階級別にみると、15〜24歳が19.0%、25〜34歳36.2%、35〜44歳34.5%、45〜54歳36.4%、55〜64歳35.7%となっています。2000年8月に比べて2001年8月には45〜54歳で特に悪化していることがわかります。(図表23) 5.雇用者数は、全産業ベースで、98、99年と2年連続でマイナスが続いていましたが、2000年には前年比プラスに転じ、2001年に入ってからも増加が続いていました。しかし、9月には5,344万人、前年に比べ53万人の減少となりました。一方、製造業では、98年以降減少が続いており、2001年2月に一旦増加に転じたものの、6月以降は再び減少が続き、9月には1,162万人と、前年に比べ53万人の減少となりました。金属産業においても、2001年2月には回復をみせましたが、7月以降は再び減少し、9月には590万人、前年比29万人のマイナスになっています。(図表24) 6.雇用形態別に雇用者数の増加率を見ると、常雇は、98、99、2000年と減少が続いていましたが、2000年9月以降は増加が続き、2001年4月には0.9%にまで回復したものの、8月には△0.2%、9月△1.1%と再び減少しています。一方、臨時・日雇は2001年1月に前年比7.6%増となるなど伸びが続いていましたが、9月には女子が△1.1%へとマイナスに転じ、男女計では0.0%となっています。(図表25) 8.わが国の就業者全体に占める金属産業で働く就業者の比率は、第1次石油ショックののち、90年代はじめまで、20年近くにわたって11%程度を維持してきました。しかしながら93年以降、年を追って低下する状況となり、99年には9.4%となっています。(GDPベースの就業者数のため、労働力調査のデータとは異なる) |
1.金属産業の賃金水準 |
2.労働時間の状況 |
(1) 賃金構造基本統計調査にみる産業別賃金比較 1.厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から連合が算出したデータによれば、性・学歴・年齢・勤続を同一とした場合の所定内賃金水準(2000年)は、産業計を100として、製造業は95.1となり、99年の95.0とほぼ同水準になっています。金属産業では、鉄鋼業94.7、非鉄金属製造業96.2、金属製品製造業94.8、一般機械器具製造業95.9、電気機械器具製造業96.8、輸送用機械器具製造業97.5、精密機械器具製造業95.8となっており、いずれも産業計を下回っています。以上の金属7産業の数値を単純平均すると96.0となり全産業平均を下回っていますが、99年の95.4からはわずかに改善しています。(図表28) 2.2000年の「男子高卒」の所定内賃金について、年齢・勤続構成を同一条件として比較してみると、産業計100に対して、製造業は95.9(99年96.0)、金属産業は95.7(同95.4)と99年とほぼ同水準となっています。一時金は、製造業98.3(同100.6)、金属産業96.5(同100.4)と大幅に低下しており、この結果、年間賃金では、製造業96.4(同97.0)、金属産業95.9(同96.6)と、99年に比べて全産業に対する比率が低下しています。一方、「男子大卒」の年間賃金は、製造業96.0(同96.2)、金属産業96.3(同96.1)と、99年とほぼ同程度の比率になっています。(図表29) 3.2000年の高卒標準者の年齢ポイント別賃金(35歳)をみると、全産業を100として、製造業95.2(99年95.0)、鉄鋼業94.2(同93.7)、非鉄金属製造業92.7(同92.3)、金属製品製造業93.5(同94.4)、一般機械器具製造業93.7(同93.4)、電気機械器具製造業96.4(同95.5)、輸送用機械器具製造業97.2(同96.8)、精密機械器具製造業96.7(同94.6)となっており、格差はやや縮小しています。金額でみると、産業計318,600円に対して、製造業303,300円、鉄鋼業300,200円、非鉄金属製造業295,300円、金属製品製造業298,000円、一般機械器具製造業298,500円、電気機械器具製造業307,100円、輸送用機械器具製造業309,900円、精密機械器具製造業308,000円となっており、全産業との格差は8,700円〜23,300円におよんでいます。(図表30) (2) 標準生計費 2001年度における全国平均の標準生計費(月あたり・非消費支出込み)は、35歳290,700円、30歳225,500円となっています。なお、34歳から35歳への1歳あたりの増加額は、9,500円となっています。これに対して、東京の標準生計費は、35歳311,000円、30歳255,300円となっており、全国平均よりも35歳で20,300円、30歳で29,800円高くなっています。 (1) 金属労協集計対象A組合における総実労働時間の状況 金属労協集計対象A組合における労働時間の制度と実態の状況をみると、2001年度の所定労働時間は1,901時間になっており、2000年度の1,905時間からわずかながら減少しています。一方、2000年度の総実労働時間は1,980時間となり、89年度の時短5カ年計画がはじまって以来最も短い水準となった98年度1,957時間から2年連続で拡大してきています。 (2) 毎月勤労統計から推計した労働時間の状況 厚生労働省・毎月勤労統計から推計した製造業の・生産労働者の2001年度の年間総実労働時間は1,973時間となっており、2000年の2,000時間からは減少していますが、戦後最短であった98年の1,956時間からは17時間増加しています。また、所定外労働時間は183時間となり、2000年の195時間からは減少しているものの、同様に98年の149時間を34時間上回っています。金属産業全体では、総実労働時間1,999時間となり、2000年2,037時間を下回っていますが、98年の1,985に比べて14時間上回っています。所定外労働時間をみると216時間となり、98年の190時間を26時間上回る高水準になっています。 |
1.電機産業 |
2.自動車産業 |
3.機械金属産業 |
4.鉄鋼産業 |
5.造船重機産業 |
6.電線産業 |
7.非鉄金属産業 |
1.電機産業 自動車産業においては、国内販売(新車新規登録・届出台数)の実績が僅かではあるものの2000年を下回る状況となっており、アメリカを中心とした世界的景気停滞により完成車輸出がアメリカ・ヨーロッパを中心に減少しているため、生産が低調に推移しており、暦年・年度ともに2001年は、1,000万台割れの可能性が高まっています。また、アメリカ同時多発テロの影響による世界的な景気後退懸念に加え、国内でも不況感が鮮明になってきており、2002年下期の収益見通しは厳しさを増しています。 一般機械の生産は、総じて減少に転じています。機械受注(原動機・産業機械・工作機械・半導体製造装置のみ、金額ベース、前年同期(月)比)をみると、原動機が増加に転じているものの、産業機械、工作機械の伸びも鈍化に加え、半導体製造装置が減少しており、全体では4〜6月期前年比△9.3%、7〜9月同△2.2%と緩やかな減少傾向にあります。 鉄鋼需要は、内需が急速に落ち込み厳しさを増しています。2001年の春先までは輸出の大幅な減少にもかかわらず、内需が比較的堅調さを維持してきました。しかし、4月以降は、建設関連需要の大幅な減退に加え、製造業からの受注も先細り傾向を強め、需要総崩れの様相を呈しています。内需の足元の動向では、建設は公共土木の減少に加え、非住宅の建築の不振から前年比で2桁の減少が避けられません。また、製造業では、唯一堅調な造船を除き、自動車、電機、産業機械などは、輸出の減少やIT関連需要の急減から前年水準を割り込む動きとなっています。 2001年度上期までの情勢では、造船、プラント、宇宙、鉄道車輌が好調となっています。 日本電線工業会の「平成13年度電線需要改訂見通し」によると、総じて需要が減少すると予測しており、とりわけ世界のIT不況の影響で主力の電気機械、建設・電販部門の不振が顕著となっています。銅電線の受注量は内外需要合計で83万2,000トン、前年度比△10.1%、出荷量で内外需要合計84万1,000トン、前年度比△10.2%の見通しとなり、この出荷量の水準は、1977年度以来の低水準となっており、大変厳しい見通しとなっています。 非鉄金属産業においては、為替は前年同期と比べて円安で増収要因となりましたが、世界的なIT関連需要の大幅な減退にともなう電子材料や伸銅品が落ち込んだ上、地金の国際価格の低下や販売不振などにより、非鉄製錬各社では軒並み減収となりました。また、IT不況による電子材料の需要不振、業績悪化に対応して、非鉄製錬大手8社は2001年度設備投資計画を修正し、当初計画の合計810億円に比べると100億円強の圧縮となっています。 |
1.アメリカ |
2.ヨーロッパ |
3.東アジア |
4.東南アジア |
アメリカでは、厳しい景気調整局面が続いていたところへ、同時多発テロが追い討ちとなって、9月には景気が急失速し、今後の先行きは不透明となっています。個人消費は、所得税減税による可処分所得の伸びにくらべ低い伸びにとどまっており、消費者信頼感は大幅に低下しています。住宅投資が頭打ちとなっていることに加え、企業収益の悪化により設備投資は大幅に減少していることから、内需の伸びは鈍化しています。 ユーロ圏では、景気は減速しています。個人消費は引き続き底堅く推移しているものの、政府消費の伸びが鈍化し、固定投資はマイナスに転じました。生産は減少しており、世界経済減速の影響で輸出が大幅に減少し純輸出の寄与はマイナスとなりました。消費者物価上昇率は、食料品価格の上昇等からやや高い水準にありますが、鈍化の兆しもみられます。 1.ドイツ 2.イギリス 3.フランス 4.イタリア 1.韓国 2.中華民国 3.中国 1.シンガポール 2.タイ 3.マレーシア 4.インドネシア 5.フィリピン |
1.IMF(国際金属労連) |
2.欧州 |
3.北・南米 |
4.アジア |
5.太平洋諸国 |
1.2001−2005年IMFアクション・プログラムの採択 2.組織人員の拡大 (1) EMF(欧州金属労連)による共同交渉戦略の進展 2001年6月20−21日、ノルウェーのオスロで第4回EMF団体交渉会議が開催されました。ここでは欧州レベルでの金属産業の団体交渉の調整戦略について討論が行われました。この戦略は1998年12月にフランクフルトで開催された第3回会議で採択された各国別の団体交渉政策の欧州レベルでの調整に関する「調整規則」が基礎となっています。 (2)フランス 1.最低賃金制度の動向 (3)ドイツ 1.IGM(金属産業労組)が訓練に関する協約を締結 2.金属産業労組(IGM)とフォルクスワーゲンの団体交渉 3.雇用のための同盟 4.フォルクスワーゲン労使が中核的労働基準に関する共同声明作成で基本合意 (4)イギリス 5.最低賃金制度の動向 (5)スウェーデン 1.金属労働者の協約 (1) アメリカ 2.雇用・失業の特徴 3.コンティンジェント労働 4.労働組合組織率 (2)ブラジル 自動車労働者はフォルクスワーゲン社と基本合意に達し、フォルクスワーゲン社最大の海外工場であるサン・パウロの自動車組立工場で行われた1週間ストライキを終結しました。この合意は、スト中の900台/日にのぼる生産不足分を補うための大量解雇や生産中止を防ぐために結ばれたものです。老朽化が進むサン・パウロのサン・ベルナルド・デ・カンポにあるアンチエッタ工場の新たな投資と更なる近代化の道を開くことにもなります。 (1)韓国 1.労使政委員会での議論と民主労総連帯闘争 (2)中国 1.金属労組の組織動向 (3)マレーシア 1.電子産業の産業別組織による組織化問題 (4)インドネシア 2.金属労組の組織動向 (5)フィリピン DOLE(労働雇用省)の発表によると、1月から5月までに、258社(従業員約5万人)の労働組合が、ストの通告を経営者側に行いました。DOLEは、今のところこの結果を楽観的に捉え、これらの労働争議は、ほとんどがNCMB(中央斡旋調停委員会)を通じて解決されるものと予想しています。NCMBの資料によると、この258組合は、昨年同時期の340組合に比べ約24%減少しています。 (6)タイ おもに日系企業の労働組合が加盟している電機、自動車および金属の産業別組織が、IMF地域事務所の支援のもとにTEAM(タイ電機・自動車・金属総連)を、1999年に結成しました。この労組に対しては海外の様々な支援組織(アメリカ、スウェーデンおよびドイツなど)からの支援、特に教育訓練や労使関係について行われており、サムトプラカーン県の工業団地の労働者を中心に3万人の組織人員を擁しています。シドニーIMF世界大会ではこのTEAMがタイの組織として加盟が承認され、従来タイの加盟組織であったIMF−TC(IMFタイ協議会)は、IMFからの文書による加盟費納入の通達に対する返答がないことから、除名となりました。 (1)オーストラリア 1.労働事情 2.総選挙 3.ジョブ・ネットワークが直面する新たな問題 以 上 |